悪徳ブリーダーの非道な行い

 前述した男のように利益目的の悪徳ブリーダーは、数多く存在しています。いくつかのケースを紹介します。

ケース1:商品にならない子犬は産まれてすぐに殺す

 知人のブリーダーは、指がない、脚が曲がっている、片目がない、口蓋裂(こうがいれつ)などの子犬が産まれると、首をひねって殺している。
「商品にならない子犬は一銭にもならず、エサ代や手間がかかるだけ。生み出したブリーダーの責任として殺している」と主張している。犬舎が近く、通報したら自分が真っ先に疑われるので、仕返しが怖くてできない(神奈川県で第1種動物取扱業を営むKさん)

ケース2:病気になった繁殖猫3匹を死ぬまで放置

 近所のブリーダーは、がん、急性腎不全、子宮蓄膿(ちくのう)症などの疾患にかかった繁殖猫3匹を、お金がかかるからと治療をしないままケージに閉じ込め、食事も水も与えず、放置した。
見舞いにいくと、死んだ猫を見せられた。その姿はまるでミイラのようで、病気で死んだのか、餓死したのかわからない状態だった(福岡県で第1種動物取扱業を営むMさん)

ケース3:所有する山の中に繁殖引退犬を係留し餓死させる

 近所のブリーダーが所有する山の前を通りかかると、普段と様子が違う犬の鳴き声が聞こえるので見にいくと、複数の小型犬がそれぞれ違う木に係留されていた。
既に死んでいる犬もいたためブリーダーに知らせると、「もう役に立たない犬たちなので餓死させている」と言った。見かねて生きている子たちを保護し、体調を整えてから新たな飼い主を探した(山梨県で第1種動物取扱業を営むSさん)

ケース4:スプレー行動がひどい繁殖猫に暴行

 知人ブリーダーを訪ねたところ、大きな怒鳴り声が聞こえるので猫舎を見にいくと、繁殖引退猫を暴行している最中だった。
叩いたり、蹴り上げたりしていたので、見かねて止めに入って理由を聞くと、「この金にならない雄猫がケージから脱走して俺の部屋に入り込み、部屋のあちこちにスプレーしたから頭にきてやった」と言った。
暴行された雄猫はぐったりしていたので、動物病院へ行くように勧めて帰宅した。翌日、その雄猫が死んだことを聞かされた。「役立たずなので、死んでよかった」と言っていた。(大阪府で第1種動物取扱業を営むNさん)

 筆者自身、犬や猫と暮らしているので、このような話を耳にすると「なぜこんなひどいことができるのか」と理解に苦しみます。