7.家のリフォーム

「年を取っても変化というのは基本的に好ましい。ただ高齢者の場合、環境が変わりすぎると負荷がかかりすぎることがある」と平松先生。例えば、水回りの大きな変化やリフォームが挙げられる。

「使い勝手や動線が変わったことで、家事がしにくくなる。新しい環境になじめず、おっくうになってしまう高齢者は多いんです」

 年老いたからといって、娘や息子のもとで暮らすというのも考えもの。心機一転、新居で生活を始められるか否か。

高齢者の場合、変化に適応するのが若いころより難しくなってくる。子どもとの同居にしても、一見良いことのように思えるけれど、そこで適応できないと認知症やうつになる危険があります。

 そもそも高齢になると行動量が減るので、外出する機会も減っていく。当然他人と会う確率はより減っていき、新たな人間関係をつくるのは難しくなってくる。ただこれは人によっても違って、好ましい方向に向かう人もいる。自分にとって無理のない範囲の変化を心がけて」

8.高額な買い物

「若い時と比較して情報を入手する力や体力が落ちる。商品の良しあしではなく、高齢者は感情によって物を判断しやすく、そのため判断を間違えやすいです」と平松先生。

 例えばパソコンを買うにしても、若者はスペックや性能を考え、比較検討して初めて購入する。対して高齢者は店員など人を基準に物を買う。

高齢者は若い時に比べて人を信じやすくなる。この人は信頼できる、この人はいい人だからこの商品はいい物のはず、だから買おう、となる。テレビショッピングが高齢者に人気なのもそれが理由の一つといえるでしょう」

 それゆえ高齢者は詐欺のターゲットにされやすい。若い人に比べて貯蓄額も大きく、被害もより大きなものに。

「調査によると、若い人で平均131万円、高齢者は平均396万円と、3倍の被害額が報告されています。高価な物を購入するときは、まず若い人に相談を。もし息子や娘に言いにくいなら、夫や友達に相談するのでもいい。高齢者同士だとしても、第三者が交ざればまだ冷静に判断しやすくなるでしょう」