夏でも欠かさず保湿を心がける
「夏はベタつきが気になったり、肌がうるおっているように感じて“化粧水だけで済ませてもいいのでは?”と考える方も少なくありません。
汗は保湿してくれそうに思えるかもしれませんが、皮膚表面の汗が蒸発するとき一緒に肌の水分も奪うため、かえって肌の乾燥を招く可能性があります。
皮脂の分泌量が多く、一見うるおって見えながら、実は肌の水分量が少ないインナードライ肌になっているというのも夏に起こりやすい肌トラブルです。おすすめはセラミドや天然保湿因子が配合された化粧品で、効率よく保湿できます」
夏こそ保湿ケアが重要だという土屋先生。ただ、さまざまな対策をしても、汗あれしてしまうことも。そうした場合は受診を。
「強いかゆみをともない、寝ている間などにかきむしってしまう人も少なくありません。爪でかきむしってしまうと、症状が悪化したり長期化したりする原因に。
当院にもかき壊してしまって、全身に広がってしまったり、患部からジュクジュクした液が出てしまった患者さんなどがお見えになることもあります」
病院でかき壊しを治療する際は、炎症を抑えるための外用薬(ステロイド軟こうなど)やかゆみを抑えるための内服薬(抗ヒスタミン剤など)を処方されることが多いよう。
汗あれなどの皮膚トラブルを放置したまま、こすりすぎて深刻なトラブルを引き起こしてしまう場合も。
「炎症が起こると、皮膚にメラニンが増えます。すると、治った後もメラニン色素が残ってしまい、肌が黒ずんでしまうことを色素沈着といいます。炎症を短期間で治療できれば、色素沈着になる可能性は高くありません」
特に更年期前後に女性ホルモンが減少すると、皮膚トラブルが長引くこともあるそう。若い時以上に普段からのケアを心がけることが肝心。
「紫外線対策もしっかりと行って肌を守りましょう。メラニンは紫外線の吸収で増えるので、普段から紫外線対策をすることが色素沈着予防にはとても効果的です。日焼け止めクリームもこまめに塗ってください。ただ、敏感肌の方はなるべく低刺激の肌にやさしい製品を選んで。
またビタミンCを摂取するのも効果的です。もし、肌があれてかゆみが治まらないような場合は早めに診察を受けて、炎症を繰り返さないようにしたいですね」
話を伺ったのは……土屋佳奈先生●皮膚科専門医。つちやファミリークリニック浅草院院長。東京医科大学を卒業後、東京女子医科大学の皮膚科に入局。現在は浅草に医院を開業し1日に100人以上の肌悩みと向き合う。著書には『美容皮膚科医が試してわかった!美肌・新常識33』(小学館)などがある。
取材・文/諸橋久美子