もう一つ、隙間時間を利用して取り組みやすいのが、片足立ちを10秒間行うプチ運動だ。

「人間は右脳から出た命令で左半身の筋肉を動かし、左脳からの命令で右半身を動かしています。実はどの脳番地も左脳と右脳にまたがるように存在していて、両方を刺激するのが大切。片足立ちは、左右にある運動系脳番地を同時に刺激できるお手軽な運動なんです」

片足立ちで脳の運動スイッチを刺激 イラスト/青井亜衣
片足立ちで脳の運動スイッチを刺激 イラスト/青井亜衣
【イラスト】脳が腹圧を感じることで「やせスイッチ」が“オン”に

朝を制すれば自然とやせ習慣が身につく

 これまでに紹介したのは、どれも簡単に始められそうなことばかり。それでもなかなかやる気のスイッチが入らないという人もいるだろう。それもまた、脳の仕組みからきている、と加藤先生。

人間の脳は騙(だま)されやすく、今の状態が最適だと誤解して変化を嫌うのです。つまり肥満脳は運動不足や過食をベストの状況だと判断し、それを固定化してしまった状態でもあるわけです

 これを打ち破ってダイエット脳をつくるポイントは、何か一つだけ新しい習慣を取り入れること。

「最も効果的なのは、朝の行動習慣を変えることです。夜は疲れて続かないことでも、朝なら続けやすいでしょう。

 手始めに、起きたら窓を開けて空気を入れ替えるとか、夜は早く寝て、食器洗いなどの家事を朝に回す、家の周りを30分ウォーキングするなど、朝の時間にこれまでより少しだけ多く動く習慣を取り入れるといいでしょう」

 それに加え前述した思考系脳番地を鍛えるために10日間好きなものを我慢するトレーニングや、運動系脳番地を鍛える片足立ちを取り入れるなどすれば、どんどんダイエット脳に近づいていくという。

「肥満脳をダイエット脳に変えることは、自分で自分の身体と脳をコーディネートし、生活習慣のぜい肉を取ることであるともいえるでしょう。その結果、太らないだけでなく、毎日気分よく過ごせるようになります」