74歳になった山本は、今も演歌の枠を超えていく。'23年からスタートした“山本譲二メタル化計画”だ。
「俺は“ヘビーメタルって何?”という感じで、マネージャーがTシャツ作りたいというから、カッコいいのを頼むなと伝えたら、俺の顔がゾンビになってた(笑)」
福山雅治がラジオでホメると、大きな話題に。
「じゃあ、遊び心を貫いてCDも作るかって。50周年だからね。けっこう本気になってやったということがメタル好きな人にも伝われば」
曲のタイトルは『言論の自由』。作詞作曲は盟友の吉幾三。年配男性の自虐と硬派な社会批判が炸裂するハードな曲だ。
「この曲はボーナストラックで、50周年記念曲第1弾は『妻よ…ありがとう』。ホントにいい曲ですよ」
妻というのは、売れる前から同棲していた女性のこと。山本が病魔に襲われたときも、懸命に支えてくれた。
「直腸がんになったときは申し訳ないと思った。案外、簡単に逝くかもと思ったけど、なんとか生かされて今がある。飯は食えず、点滴ばっかりだったけど、もうちょっと生かしてくれねえかな、もう少し生きたい、そう思いました」
山本は腫瘍で右耳の聴力を失っており、満身創痍。それでも歌いたいという気持ちを失っていないのは、妻のおかげだと思っている。
「この世界は夫婦で成り立っていると俺は思うんですよ。妻のために俺は頑張ってきたんだけど、妻のことを忘れていた時期もあるよなって。それでも妻は俺の傘になってくれて、小さな明かりを灯してくれて、一緒に歩いてきたんだよね」
メタルで爆発しながら、妻への感謝を忘れない。
山本譲二はやっぱりカッコいい男なのだ!