8月28日から9月8日までの12日間にわたってフランスで開催されるパリ2024パラリンピック。最近ではアスリートやタレントだけでなく、SNSなどで活躍するインフルエンサーが大会の魅力をメディアで発信。そのひとりが事故で両脚を切断し車いすユーザーとなった後、モデル等の活動をはじめたみゅう(葦原海)さん(26)だ。東京オリンピック・パラリンピックの公式イメージ動画にも出演経験がある。
車いすユーザーの思いをより多くの人に早く伝えたい
「私が今こうして活動しているきっかけは、2016年に知人からの紹介でNHKが開催したファッションショーに参加したことです。その時はまだ、モデルとしての活動をしていませんでした。そのファッションショーは、2020年に開催される東京パラリンピックに向けて企画されたもので、さまざまな障害を持つ人がランウェイを歩く様子を撮影して放送するといった内容。
パラスポーツの認知や障害を抱える人への理解を深めようといった番組でした。小さいころから、テレビ番組の大道具の仕事に就くのが夢だったので、その現場が見られると思い参加したのですが……。ある違和感を覚えてしまって」(みゅうさん、以下同)
ランウェイを歩くこと自体は新鮮で楽しく、テレビ制作の裏側が見られたのも貴重な体験だった。けれど、ステージから客席を見渡した時に強烈な違和感に襲われる。
「ランウェイは屋外に設置されたもので、周りには観客席がありました。ただ、そこにいるのは障害を持った方や出演している人の家族がほとんど。番組放送後の感想を見ても福祉業界を目指している学生さんや、医療従事者の方のコメントが多かった。つまり、最初から障害者に理解を示している人や、お仕事で携われている方が関心を寄せている状況だったんです。
番組の趣旨としてショーの内容を本当に届けたいのは、これまで障害者と触れる機会のなかった人や、興味関心がない人のはず。大道具といういわば裏方を目指していましたが、自分が演者として発信者側になれば、障害者のことや車いすユーザーの思いをより多くの人に早く伝えることができるかもしれないと考え“モデル”として活動しようと決めたんです」
そこからSNSでの活動やさまざまなイベントに出演するようになり、いまではTikTokやYouTubeを中心にSNS総フォロワー数約70万人(2024年8月現在)のインフルエンサーとなった。
障害者としての日常のほかに、20代の若者らしくファッションやメイクのことなど幅広く発信し、世代を問わずに注目されている。
そんなみゅうさんが両脚を切断することになったのは、10年前のまだ彼女が16歳の時のこと。
「高校1年生の16歳の時に、交通事故に遭い両脚を切断することになりました。事故の詳細についてはあえて話さないようにしています。事故は当事者同士の問題ですし、事故で両脚を切断するケースは稀だと思うので、加害者が特定されて必要以上に叩かれるのは避けたくて」