2023年11月、猿之助には懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が下る。以後、事件を起こした自宅に戻り、ひっそりと暮らしている。

「公判中の供述で“許されるのであれば歌舞伎界に戻り、舞台に立ちたい”と語るなど復帰の意思を見せていました。将来、猿之助の名跡を継ぐとされる市川團子さんに当時猿之助さんが指導していたことを、猿之助さんのいとこで同門の香川照之さんが明かしています。しかし、本人の口から今後の活動に関するコメントは出ていません」

 復帰を待っていた盟友の死に猿之助は何を思うのか。

ベンチに腰を下ろした猿之助の隣には

2024年8月下旬の猛暑の中、木陰になっているベンチに座って、台本を読む市川猿之助と弟子の市川段一郎
2024年8月下旬の猛暑の中、木陰になっているベンチに座って、台本を読む市川猿之助と弟子の市川段一郎
【独占写真】完全に立ち直ったのか、愛弟子に“青空稽古”をつける猿之助

 下村さんの死から数日後の8月下旬。太陽が照りつける昼時に、自転車に乗って、自宅敷地内から外に出かける猿之助を目撃。

 ベースボールキャップをかぶり、サングラスをかけて、首元にはタオルを巻くなど暑さ対策万全の猿之助は、タンクトップに半ズボンというラフないでたち。自転車の前カゴには釈放後に飼い始めた愛犬の姿もあった。

 猿之助が向かった先は、彼の自宅からほど近い公園。木陰のベンチに座る彼の横には、弟子にあたる歌舞伎役者・市川段一郎の姿があった。

 かまってほしそうに飼い主に体を寄せる飼い犬をよそに、猿之助は表紙に『双蝶々曲輪日記〜引窓』と書かれた台本らしき冊子を眺めながら段一郎と会話をしている。10月からその舞台の全国巡業が始まることから、どうやら猿之助は同舞台に出演する弟子のために演技指導を行っているようだった。

 セミの鳴き声が響く中、ベンチに座りながら両手を上げるなど歌舞伎の演技らしき動作を続ける段一郎のそばで、アドバイスをするように語りかける猿之助。2人の“青空稽古”を遠巻きに眺めること二十数分。猿之助に声をかけてみた。