「私」を前に出した会話をすると選ばれない

 仕事の場では、「弊社はこういう方針でこんな努力を重ねています。売りはこちらです」と、明確に伝えた方が、プレゼンはうまくいきますよね。ところが、婚活の席では、「私は、こういう人間です。結婚生活ではこんなことを希望します」と明確に伝えると、いい結果を生まないことが多いのです。

 結婚は、それまで全く違った環境で育ってきた男女2人が、一つ屋根の下で暮らすこと。日々を紡ぎながら、家族という形を一緒に作っていくものです。育ってきた環境が違えば、考え方も違う。「自分がこうしたい」という明確な主張があり、それを強く押し出す人は男性も女性もなかなかお相手に選んでもらえません。

 自己主張の強い相手と結婚したら、そこに合わせていかなければ喧嘩になる。喧嘩をしたくないと思ったら、自分は嫌でも相手に合わせないといけない。そんな生活は、面倒だなと思ってしまう人が多いのです。

 “亭主関白”“かかあ天下”といった、昭和の時代に流行った言葉は、もはや死語。どちらかが家庭の主軸になるのではなく、夫と妻は平等な立場で話し合い、家庭生活を営んでいくのが現代のスタイルです。

では、自分の希望をどう伝えたらいいのか

 だからといって自分の思いや、やりたいことをパートナーに伝えられなければ、またストレスがたまりますよね。

 では、どんなふうに伝えたらいいのか。婚活では、常に“私は”“私が”という会話をするのではなく、“あなたはどう思いますか?”の会話をしようと心がけるとうまくいきます。

 これはどういうことかと言いますと、「私、結婚しても仕事は続けたいんです」と自分の主張をするのではなく、「結婚して、女性が仕事を続けることをどう思いますか?」とお相手に、お相手に尋ねてみる。

「ワンオペ家事、ワンオペ育児になるのは困ります」と言うのではなく、「家の事は、ご自身でなさっているんですか?」「家事はなにが得意ですか?」「子どもは好きですか?」「育児には、参加したいと思いますか?」そんなふうに、相手からの答えを引き出すようにすると、相手がパートナーに何を臨んでいるかがわかります。

 もうひとつ、わかりやすい例でいうと、デートの待ち合わせに、相手が遅れてきたとします。このとき、自分の気持ちをそのままぶつけて、こんなことを言ったら相手はどう思うでしょうか?

「20分も待っていたのよ。私は、約束を守って時間どおり来たのに、なんで遅刻したの?」

 相手は、「遅刻したことが悪い」と思っていても、カチンとくるでしょう。そうではなく、相手側に立った言いかたをする。

「遅かったから、事故にでもあったんじゃないかと、心配したわ」

 この2つのセリフを言われたときに、遅れてきた相手はどう感じるか。それは、もうおわかりですね。