鎮目さんはこれまでの日本文化を題材にしたコンテンツを踏まえ、次のように話す。

「これまでは侍や芸者、忍者などについて、面白おかしく“カッコいい”といわれていたイメージがあり、少し間違った形で日本文化が扱われてきた点もあると思います。しかし、今回は時代劇がしっかりと描かれていました。

 真田さんが“日本文化をきちんと伝えてほしい”と訴え、そうした真田さんの姿勢を見て、制作陣もその思いに応えたのでしょう。その意味でも今回の受賞は、日本人だけではなく、世界中のテレビマンにとっても可能性を広げられたという点で、とても偉大なことです。アメリカ人のエンタメ観やテレビ観などを根底から変えた出来事になっています」

ハリウッドに愛されている人

‘03年、映画『ラストサムライ』の試写会で。左から真田広之、トム・クルーズ、渡辺謙
‘03年、映画『ラストサムライ』の試写会で。左から真田広之、トム・クルーズ、渡辺謙
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 映画評論家の伊藤さとりさんは、真田が日本人で初めて主演男優賞を受賞した件について熱弁する。

「真田さんは、2003年に公開された映画『ラスト サムライ』に出演したことを皮切りに、アメリカでの活動を始めましたが、最初はメインキャストではない役の仕事も受けていました。その後も地道に俳優活動を続けたうえで、アクション指導をしたり、作品作りにも貢献していました。今回、そうした努力が報われたのでしょう。私自身も“日本人初のエミー賞はこの人しかいない!”という思いがありました」

 真田が主演男優賞を取るに至った理由は、これまでの経験なしでは語れないという。

真田さんと共演した海外の俳優の多くは、真田さんのことを“ヒロ”と呼ぶんです。真田さんからアクションを教わる中で、敬意や親しみを込め、そう呼ぶのでしょう。真田さんは数々の俳優や監督から絶賛されていて、“ハリウッドに愛されている人”という印象があります。もちろん『SHOGUN』そのものの面白さもあると思いますが、これまでの真田さんの誠実さや確かな実力に注目が集まった結果、主演男優賞を受賞するに至ったのでしょう」(伊藤さん、以下同)