普通の暮らしを楽しみつつ“由美ブリージング”を教える

俳優・由美ブリージング指導者の由美かおる(73)撮影/伊藤和幸
俳優・由美ブリージング指導者の由美かおる(73)撮影/伊藤和幸
【写真】スリーサイズは58年前と同じ!70代に見えない美しいプロモーションの由美かおる

 由美さんは、仕事一筋、一般的な女性が普通にすることが何もできずにきた。

「これからは、今までできなかったことをやってみたい。まずはお料理と張り切ったものの、最初から大失敗でした(笑)」

 母の味はちゃんと覚えている。いろいろなおいしいものも食べてきた。張り切って“料理は出汁”と、昆布は前の日からつけていたが、カツオ出汁は顆粒状のものを使ったところ……。

「袋の半分近く入れたら、すごいお味になっちゃった。説明書をちゃんと読まないから。青くなりましたけど、大笑いしちゃった。失敗しないとダメね」

 いなり寿司を作ろうと、大量に油揚げを煮てしまったことも。

「油揚げを5袋買ってきて、それぞれ半分に切るから、30個くらいになっちゃって。最初は少なくしておけばいいのにね。母も太っ腹だったから、何でもたくさん作っちゃう。失敗しながらも、作ることが楽しくて」

 長年東京に住みながら、初めて電車に乗ったのは3年ほど前。それまでは、どこへ行くにも車でマネージャーが運転してくれていた。

「健康のためにも歩かなきゃと思って。電車にもバスにもね。電車に乗ったら、渋谷と原宿ってあっという間に着いちゃうのね。車だと時間がかかることもあったのに。これは早くて安くて、便利だねって」

 電車の中ではみんなスマホしか見ていないから、顔バレすることもないそう。

「Suicaも買ったのよ。チャージの仕方がわからずに“すみません、ちょっと教えてください”って、並んでいる人に聞いて、それもクリア。失敗しながらも、ひとつずつできることが増えていく。うれしいですね」

 初のファミレス体験も新鮮だった。

「ロボットが運んできてくれてね! みんなで行ったときは、シェアして、あれもこれも、ちょっとずつ食べられるのがいいわ」

 ずっと東京都港区に住んできた由美さんは、昨年“港区観光大使”に就任した。

「港区って、青山や六本木など高層ビルのある都会的なところとお思いかもしれませんが、古い歴史のある場所。緑の森も残っていて、路地を入ると、昔ながらの商店もあるんですよ。新しいものと伝統的なものが共存している港区の魅力を、広く発信していきたいですね」

 現在のライフワークは“由美ブリージング”を普及させること。公民館や介護施設などでブリージングレッスンを行う。

「ちゃんとした呼吸をすると免疫力も上がります。お医者様に頼る前に、自分の身体を自分で維持してもらえたらと思って、いろんなところで教えているんです」

 身体にピッタリとしたウエア姿で大勢の前に立ち“骨盤をちょっと前に出し、膝を緩める。上と下、両方から引っ張られるイメージで”など、わかりやすく説明しながら、一緒に身体を動かし、呼吸法をしていく。2時間のレッスンが終わると、みんな血行が良くなって、生き生きとしてくる。

「みなさんお風呂上がりのようなお肌で、すごい元気になられて。ブリージングは身体を健康にしてくれるだけじゃなく、心も豊かにしてくれるの。それもお伝えできればと思います」

 何よりも、健康でしなやかな由美さん自身の身体が、柔らかな笑顔が、ブリージング効果の証拠でもある。