10代20代の現役時代の基準で止まっている

 ハビエルさんだけでなく、安藤さんは専属コーチだったニコライ・モロゾフ氏とも交際しており、モロゾフ氏は結婚も考えていたことを明かしています。当時の安藤さんは立派な大人ですから、コーチと恋愛関係にあったとしても何の問題もないでしょう。

 けれども、時代は変わり、ハラスメントはいけないという考えが国際的にスタンダードとなりつつありますから、たとえ成年に達していたとしても、今後はコーチと選手の恋愛に対して、否定的な意見が出てくるかもしれません。

 常識というのは時代と共に変化していきますから、昔許されていたことが、今はアウトということはよくある話です。一方で、安藤さんはすべての感覚や行動が10代20代の現役時代の基準で止まっているように思えるのです。

 現役時代、ある芸能人がテレビ番組で安藤さんをエロいと評するなど、安藤さんをアスリートではなく性的な対象としてとらえる人がいたのは事実で、その視線に安藤さんはたくさん傷ついたことでしょう。

 安藤さんの被害者マインドも、この時の傷が癒えていないからなのかもしれません。もしそうなら、そういう経験をした安藤さんだからこそ、子どもたちを守るためにできることがあるのではないかと思うのです。

 現役時代はすごい選手だったけど、異性関係はヤバいオリンピアンとして人々の記憶に残るのか、それとも、名コーチとなって現役時代以上の活躍を見せるのか。すべては、安藤さんのこれからにかかっていると思います。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」