裁判では、楳図さんが勝訴したが、近隣住民はどう思っていたのだろうか。
「面白い個性的な家だなと思うぐらいですかね。建設反対の署名を求められたこともありましたが断ったんです。個人の感覚の問題なので。私は特に迷惑だと思ったことはないです」(近隣住民の女性)
ほかにも数人の近隣住民に聞いたが、同じような回答だった。
楳図さんが所有していた一軒家
そんな楳図さんだが、自然豊かな東京・八王子にも一軒家を所有していた。昨年、その家に、ある変化が。八王子市内の近隣住民が明かす。
「昨年の秋ごろに、自宅周辺の垣根をマネージャーさんなどが来てキレイにされていたんです。
これまでは年数回ほど訪れるだけでしたから、売ってしまうのかと思って聞くと、マネージャーさんは“楳図先生がもっと訪れたいと思っているので、掃除をしているんです”と言っていました。床暖房も入れて、リフォームをされたようです。ただ、それっきりで……」
楳図さんは過去の雑誌インタビューで、故郷についてこう語っていた。
《奈良県の自然をズルズルひきずっているので、自然がないところは住めないです》
愛した街と、少年時代に漫画の構想で胸を膨らませた故郷を思わせる地で、思い出に浸りたかったのか─。