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ー 名目が「人材不足の解消」だが
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ー 天下りへのご褒美、富裕層優遇の指摘

 

 厚生労働省が、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金の受給額を減らす『在職老齢年金制度』の適用基準額を引き上げる方針で調整に入ったと報じられた。

 これに対してネット上では、

《65歳以上で60万円もらってるなんて一般的じゃないだろ。官僚の天下り後の対策としか思えない》

 といった怒りの声が噴出している。

『在職老齢年金制度』とは、働く65歳以上の高齢者で、厚生年金と賃金の合計額が月50万円の“基準額”を超えると、厚生年金が減額されるというもの。

 例えば、厚生年金と賃金を合計した月収が60万円ある高齢者の場合。超過した10万円の半額となる5万円が、厚生年金から減額される。この50万円という基準額を62万円に引き上げ、厚生年金を満額支給する対象を拡大するというのだ。しかし、

名目が「人材不足の解消」だが

「厚労省は、この“50万円の壁”を引き上げることで、人材不足を解消できるといいます。しかし、月に62万円も稼ぐ高齢者が、どれだけいるのか。年収にすると744万円ですよ。国税庁が発表した2023年分『民間給与実態調査統計』では、給与所得者の年収701万円から2500万円までの人は全体の15%ほどです。つまり85%が年収700万円以下ということ。月収50万円でも十分に高収入。この引き揚げが人材不足の解消につながるとは思えません」(経済ジャーナリスト)

 国税庁の統計によると、給与所得者の平均年収は460万円。これを12で割ると38万円ほど。これは額面で、社会保険料や税金が引かれて、手取りはさらに少なくなる。

 厚生年金を含めて月収62万円以上を稼ぎ出す65歳以上は、どこにいるのか。ネットでは、東京・霞が関の官僚に疑いの目を向ける声が噴出している。