まさか受けていただけると思ってなかったので、とってもうれしかったです。藤井さんは大先輩で本当にすごい方なので、実は私のことをどう思ってるのか気になっていたんです。インタビューは“明るくて〜”みたいな内容かなと想像してたら、帯にもあるようなことが書いてあってびっくり

ひねくれた感じは一生変わらない気も

 発売イベントではサプライズで手紙ももらったという。

翌日が『新婚さんいらっしゃい!』の収録だったので、私もお手紙を書いたんです。どのタイミングで渡せばいいかすごい悩んで恥ずかしかったんですけど、『何? 何?』って受け取ってくださって。お読みになったあと『ありがとう〜。泣いてしまうやんか〜』と言っていただきました

'22年より『新婚さんいらっしゃい!』の司会を務める藤井隆と井上咲楽(公式HPより)
'22年より『新婚さんいらっしゃい!』の司会を務める藤井隆と井上咲楽(公式HPより)
【写真】井上咲楽を丸裸? 孤立していた学生時代などを赤裸々に綴ったエッセイ

 また、印象的なのが日記やバレットジャーナルをつけているという話。“365日毎日のようにテレビに出ているタレントになりたい”など夢を書き込んできたバレットジャーナル。日記は中1からつけている。

《長続きのコツは、毎日書こうとしないこと。(中略)日記には、その日の出来事だけではなく、思ったことも書く。こんな気持ちになってヤバい、記さずにいられない!と全部を言語化してしまいたいという気持ちで書く。/感情は自分の中だけにあって、その時の自分にしか感じられないもの。それを記さないのはもったいないと思うのだ》

 記録をつけることは昔から好きだった。

「夏休みの宿題の日記を早く書きたい子どもで。今日の分を書き終わったら、明日の分も明後日の分も早く書きたい!と思うようなタイプでした(笑)。手書きで可視化したいので使うのはノート。書いたことを頼りに後からいろんなことを思い出せるので、つけていてよかったなと思います」

 最近書いた内容を聞くと、前日に行っていた台湾での話が。

「トレランをしている日本人の方を紹介されて会ったんですけど、“海外だと、日本にいるときより新しい人に会うことに対して自分は抵抗がないことに気づいた”とか。あとその方、『人見知りですいません』と言いつつ、『ここから自転車で10キロ移動します』と言って一緒に10キロ走ることになって。“人見知りとアクティブって相いれないものじゃないんだな。よく考えたら自分もそうだ”みたいなことを書きました」

 各方面から引っ張りだこの人気者になった現在でも、

《あいかわらず内面ではぐるぐると考え込んでいる。/今が一番楽しい。そう感じているのに、ふとした時に不安になるし、苦しくなっている自分がいる》

 と率直な気持ちを吐露する彼女。だが読者からはプラスな反応が多数寄せられている。

「読んだ人が自分のことをどう思うか気になってたんですけど。“こういうことを知れてよかった”などの感想をもらえて、すごくうれしかったです」

 ちなみに、YouTubeチャンネル「井上咲楽」でおなじみのご家族からの感想は?

「特になく(笑)。普段から家族間で仕事の話をすることがそんなにないんですよ。母はたぶん読んでいると思うんですけど、感想を言ってくるようなタイプでもないので、“おめでとう”くらいの感じでした」

 どんな年代でも、きっと共感できる箇所がたくさんあるこの本。最後に本誌読者へのメッセージをお願いすると。

「私のこのひねくれた感じは一生変わらない気もするんですけど……。でも“自分にもこんな時期があったな”とか、重ね合わせて読んでいただけたらうれしいです」

『じんせい手帖』(徳間書店)1760円 ※記事の中の写真をクリックするとAmazonの購入ページにジャンプします

 

25歳の井上咲楽が自己肯定感の低さや生きづらさについて赤裸々につづったエッセイ。『じんせい手帖』(徳間書店)1760円

取材・文/今井ひとみ