ニクヨさんは大学卒業後の数年間、4畳半風呂なしトイレ共同のアパートで貧乏生活を経験。その後、本人いわく「周回遅れ」で派遣社員として社会人キャリアをスタート。若いころの苦労した経験から“お金のニオイ”にも敏感になっていった。
人生に対するモットーは“人生は経営”
「私の人生に対するモットーは“人生は経営”。お金を含め、自分の状況や周辺の物事を整理しやすくなります。自分にとっての資産や負債を“仕分け”しやすい。それに、目標や向かう先も考えやすくなります。
こうした経営感覚は、ビジネスや投資にはもちろん、人生でも大切なことだと思います。常に世の中のお金の動きを見ながら、自分の振る舞いを考える。人生を選択していく。お金のニオイに敏感になるとは、こういうことだと思うのです」
例えば、「うちの会社はなかなか給料が上がらない」と嘆く人がいたら、その原因は会社ではなく、自身がお金のニオイに敏感ではないからかも。
「そもそも業界が相当な不景気かもしれません。お金のニオイがしない業界にとどまり続ければ、給料は上がりにくくなります。そこで嘆くのではなく、給料が上がらない分、円安で利益を上げる企業に投資してカバーするという方法もあるでしょう。勤務先や転職の判断をする上でも、こうした感覚を持つことが大切ですよね」
適切な範囲で身銭を切って、実際に投資しながら、感覚を勉強することも大切。
「お金が集まりそうなところを注意深く見続け、その嗅覚を鍛えていきましょう。投資を怖いと感じる方も、きっと自分のお子さんに入ってほしい会社のほとんどは株式会社だと思います。
株式会社はそれだけ機能的に優れていますし、だからこそ増えてきたわけですよね。自らの資産を投資して、自分にできないことを株式会社に実現してもらう。そんな感覚で投資をする人が増えてくれたらうれしいですね」
取材・文/諸橋久美子
肉乃小路ニクヨさん 1975年千葉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学在学中(1996年)女装を開始。証券会社に就職後、銀行と保険会社でキャリアを積む。会社員と並行してショウガール・ゲイバーのママとして勤務。経済・お金・ライフハック・人生観を独自の視点で語る。