症例が少なく情報も乏しい

 9トリソミーモザイクは極めてまれな染色体異常で、しかも死産や流産になることが多い。

「入院した病院での症例はなく、あまり情報が得られませんでした。1歳半のころに別の病院で口唇裂の手術を受けました。

 一般的には小頭症や心疾患、口唇口蓋裂などの症状があり、目や鼻が小さく耳の位置が低いという顔貌の特徴を教えてもらったんです。晴琉もほぼ当てはまりますが、心疾患はなかったことや、頭が大きく、水頭症だということもわかりました」

 嘔吐や行動障害、発作などを引き起こす水頭症は、脳室に過剰な脳脊髄液がたまる症状だ。幸いにも晴琉さんは、シャントという髄液を抜く管を身体に埋め込む手術は必要なく、現在は脳外科にも通っていない。

「生後半年から1歳半までの生存率が50%だということもそこで初めて知りました。でも晴琉はすでに1歳半を迎えていたので、ひとつ壁を乗り越えたのだなと。ただ症例が少ないのに症状はさまざまで。似たような子もいれば、4歳まで病名がつかず歩ける子もいて、わからないことが多いんです」