今後は自宅で酸素呼吸器をする状態に
重い障害を抱え、言葉を発することや歩行が困難でも、晴琉さんにははっきりとした意思があるという。
「看護師さんが痰の吸引をするねと呼びかけると受け入れる合図をしてくれますし、毛布の上に乗せて優しく揺らすと、私のことをじっと見て、もっと激しく揺らせと目配せするんですよ(笑)。もぞもぞ動いて抱っこをしてほしいと甘えたりもします。近くにいる人の膝を触っていたずらをしたり、かわいいんです」
日常的なケアは、食事の世話や痰の吸引がメインになっている。
「食事は胃ろうではなく、鼻から経管栄養をとっています。具合が悪いときは夜中に痰を吸引することも多いですが、長時間にわたって首のすわらない子を抱え続けるのは身体にこたえますね。ネブライザーという機械を使って痰をやわらかくする薬を吸入してあげたり、歯磨きをこまめにすることも健康維持に欠かせません」
だが咳き込んで注入がうまくいかないことや、吐いてしまうこともある。
「そうなるとICUに入院して、2週間ほど酸素呼吸器をつけっぱなしということもあって。今年の10月は珍しく月に2回も入院しました。最近は深い眠りにつくと1分間に5~7回ほどしか呼吸をしておらず、無呼吸状態なんです。自宅に酸素呼吸器を持ち帰ることも決まり心配です」
24時間続くケアは、家族の協力があって成り立つ。
「3年前までは実家で暮らしていたこともあり、実母に頼りっきりでした。今は夫の仕事が休みの日にはケアを任せていますし、小学2年生になる下の娘も、私の体調がすぐれないときは『吸引を手伝うよ』と言ってくれて、とてもありがたいです」
そんな支えもあり、麻依さんは出産直後から社会との関わりを持とうと働き続け、6年前から現在の職場に。
「もともとこの子の預け先がなくて苦労していたのですが、医療的ケアを必要とする子も受け入れる施設が新しくできると聞いて。しかも責任者の方がたまたま夫の友人で、娘を通わせながら保育士として働くことをすすめてくれたんです。みなさんには本当に良くしていただいて感謝していますし、ご縁を感じました。娘を産んでから、障害がある子に何かしてあげたいと思うようになりましたし、娘の世話をすることで得た知識は、他の子にも活かせています」