恩返しで大事な2つのポイント

その1  理想を追い求めすぎない

 ハワイ旅行、といった準備やお金もかかるプレゼントは、頓挫したり、一回こっきりの恩返しになってしまうことが。背伸びせずに、今の自分ができる小さな心遣いや、親を助け、親が喜ぶ行動を、長く続けることが大事。

その2  タイミング

 恩返しは「思い立ったが吉日」。親が認知症や重篤な病になったら、恩返しできることも限られる。今どんなに元気でも、親は確実に老いる。「いつか」親孝行しようではなく、年末年始の「今」が恩返しの一番のタイミング。

田中さんおすすめ、小さなプレゼントでちょっとした恩返し

歩行補助用キャリーバッグ

 高齢の親がスーパーなどで買い物をして重い荷物を持って歩くのは、腰を痛めたり、転倒のリスクも。「親がまだ一人で買い物に行ける状態なら、歩行補助用キャリーバッグをプレゼントするのがおすすめです。4輪式で両手でつかまれるので、杖よりも安定感があり、疲れたら椅子として座ることもできて便利」

拡大鏡

「老眼になると本や雑誌の小さな文字が読みにくくなり、読書から遠ざかってしまう人も。ほうっておくと脳の衰えにもつながります。読みたいときにさっと手にとれる拡大鏡は、親に読書習慣を続けてもらうために最適なプレゼント。手元を明るく照らすLEDライト付きのものや、卓上に置いて使えるタイプなど、種類が豊富なのもいいですね」

田中克典さん たなかかつのり 1962年埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年、介護保険制度の発足と同時にケアマネジャーの実務に就き、これまでに約500人の高齢者を担当。
田中克典さん たなかかつのり 1962年埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年、介護保険制度の発足と同時にケアマネジャーの実務に就き、これまでに約500人の高齢者を担当。
【写真】あなたはできてる? アンケートで見えた「親孝行」のホンネ

教えてくれたのは…田中克典さん たなか かつのり 1962年埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年、介護保険制度の発足と同時にケアマネジャーの実務に就き、これまでに約500人の高齢者を担当。

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取材・文/村瀬素子