かつては元夫(左)と仲の良い姿を披露していた八代亜紀さん(右)だったが……
かつては元夫(左)と仲の良い姿を披露していた八代亜紀さん(右)だったが……
【写真】マネージャーだった元夫と笑顔を寄せ合う、幸せそうな八代さん

 スタッフたちは、八代さんの死後も、八代さんを支え続けている。

 八代さんは1994年に元歌手の男性と結婚したが、子宝に恵まれなかった。男性とは2021年に離婚。だが、ともに生活をした“家族”がいたという。それが、八代さんより10歳ほど年上の付き人の女性だった。

50年ほど前、八代さんはコンサートに来ていたその女性に声をかけて、一緒に東京へと帰ることに。その際、女性の複雑な生い立ちを聞いて、付き人として働いてもらうことを提案。2人はそのときから深い絆で結ばれた“家族”のような関係でした」(前出・スポーツ紙記者)

「80歳過ぎても歌っていたいな」

 一部報道によると、病床の八代さんは女性に向かって「私、80歳過ぎても歌っていたいな。婆さんに80歳の『舟唄』を聞かせると思ったら、ワクワクしてきた」と話したという。女性も、まだまだ八代さんの歌を聞き続けられると思っていたが……。前出の大野さんが続ける。

「付き人の女性は八代さんより年上ですから、当然のように先に亡くなるのは自分のほうだと考えていたようです。なのに、八代さんが先に亡くなってしまい、寂しい思いと同時に“なんで自分が生き残ってしまったのか”という、そうとう苦しい葛藤を抱えていました」

 八代さんは、少年院や女性刑務所への慰問、保護猫活動、養護施設や災害被害地域への支援など、長年にわたって慈善活動を行ってきた。

 こうした活動の原点は、1973年リリースの『なみだ恋』が120万枚の大ヒットしたことから始まる。2012年のインタビューで、こう語っていた。

《「なみだ恋」が大ヒットしたでしょ? わたしのレコードを買ってくれた人、聴いてくれた人、世の中の人たちに何かお礼をしたい、恩返したい気持ちがあったの》

 慈愛に満ちた八代さんは、1人でコンサートを訪れた年上の女性にも“お返しをしたい”という気持ちから、声をかけたのかもしれない。

「その女性が八代さんの付き人を退いた後も、八代さんは“最後まで私が一緒にいるからね”と、たびたび言っていました」(前出・大野さん)

 女性は今、八代さんの遺志を継ぐスタッフたちに支えられているという――。