ただ、やはり問題なのは“お湯を替えていない”点だという。
「お風呂のお湯を1年半も替えていないと、かなりの雑菌が増殖していると考えられます。
その後、シャワーで身体を流していれば大丈夫ですが、流さずに出ると、皮膚にそういった菌が付着したままになるので、ニオイの原因となります。
さらに、それがタオルや服に付着すると、それも臭くなってしまいます」
皮膚に傷があった場合は、そこから雑菌が入って化膿したり、傷が悪化したりする可能性も考えられるという。
「雑菌を抑えてくれる」ことはない
「皮膚には常在菌があるので、そのバランスが崩れてしまうと、他の病気にもかかりやすくなってしまうことも考えられます。
最悪の場合、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって、傷口から入った菌によって片足がすべて腫れてしまう症状が出たり、糖尿病の人や、免疫機能が低い人は、菌が全身に回って高熱や意識障害が出ることもありえます。
そのため、お風呂のお湯は毎日替えて、清潔な状態で入浴するべきです」(筋野医師、以下同)
動画で説明していた“雑菌を抑えてくれる”という点については、
「基本的に、菌が他の菌を分解するということはありません。
例えば、インフルエンザに感染しているときにコロナウイルスが体内に入ってきたら、インフルエンザの菌がコロナをやっつけてくれるのではなく、同時に来たら同時にかかるだけ。
このように、菌同士は共存するものですから、雑菌がゼロになるということは考えにくいです」
適切な方法で入浴することが、健康への近道のようだ。
筋野 恵介(すじの けいすけ) 2008年3月埼玉医科大学卒業、10年4月同大学病院感染症・感染制御科入局、11年4月同大学病院ER科兼任入局を経て、18年4月現在の「のぞみクリニック」開設