「もう1度必死に生きてみよう」
伊藤「実はそこまで話し合っていないんです。芝居に関してのアドバイスはお互いにしていたのですが、ふたりのシーンに関してはあまり相談していなくて、お互い感情ができ上がってきたタイミングで、セリフを発するという形を繰り返していました。海里風さんも“間を取ろうと気にしすぎないでいいよ”と言ってくださって、お芝居ですけど、よりリアルに近いテンポ感でできたなと思っています」
‘14年のドラマ『GTO』(フジテレビ系)の森野真役やアーティストとしての一面も持っている新里(しんざと)宏太は阿部と同僚だが、立場が上という役柄だった。
新里「同僚の阿部くんたちを戦争に駆り出す指示をする立場でした。同僚を殺すことに似た感情を持ち、だんだん迷いが生じ始め、一時は自死も考えてしまうほど、自分自身を追い込んでしまうという役柄。阿部くんたちとはまた違った“命の在り方”を考えさせられましたね。この舞台は冒頭のシーン以外は、1~2日の出来事の話なので、その短い間での感情の起伏をどう演じるかは何度も思考を重ねました」
最後に演出の保母と主演の阿部から、これから観劇する方にメッセージが。
保母「題材が少し重めの舞台ではありますが、この舞台を見たお客さまが明日から生きていく中で“生かされているんだ”ということを意識したうえで、自分の命に向き合ってほしいなと思います」
阿部「日々過ごす中で、生きることがつらくなってしまうこともあると思います。生きることを諦めそうになっている方にこの舞台を見ていただき、一歩踏みとどまって“もう1度必死に生きてみよう”と思ってもらえるようなメッセージを届けたいです。
見に来てくださったみなさまがこの舞台をきっかけに“生きる”ことについて、少しでも考えてもらえれば嬉しく思います」