岩井 どんなに仲が良くても、数奇なことで別れることだってある。生涯の友だと思った女友達がいたけど、縁が途切れて今は全然会っていない。連絡したほうがいいかなって考えることもあるけど、「今さら何? 放っておいて」って言われたらと思うとなぁ……だから、考えないのがいいんだろうな。

西原 人は誰かに愛されたいし、誰かを愛してあげたいと思うけど、そんな人っていつもいるわけじゃない。まず自分を愛する。自分の機嫌を取ってあげようよ。

岩井 私、シンガポールに一人で行くのが好きなのよ。なぜなら、知り合いがいないから。知り合いがいると、「お土産を持っていかないと」とか「約束して会わないと」とか、いろんなしがらみが生まれる。

 だけど、シンガポールにはそれが一切ない。しかも一人だから、同行者に気を使わなくていい。それが自由で楽しくてね。

「人間の器は無理に大きくしなくていい」

西原 知らない他者のことを気にしたり、振り回される嫌な人のことを考えるよりまず、自分の機嫌の直し方に目を向けるべきだと思う。私は嫌な予兆を感じたときは筋トレをしたり、ちょっといいワインを飲んだりする。お医者様に相談して、処方してもらった薬をあらかじめ飲んだりね。

岩井 岡山にいたとき、いつも「何にもいいことのない人生だった」ってずっと言ってる肉親がいた。それを聞くと、その当時もげんなりしたけど、今でも腹立つもんなぁ、思い出すと。

西原 人間の器ってすごく小さくて、実際はおちょこぐらい(笑)。無理に大きくしなくていいんだと思う。志麻子ちゃんは気遣いの人だけど、自分の機嫌の取り方を知っているから、結構いつもご機嫌だよね。

岩井 今日は特に理恵子ちゃんと会えたからだよ! これからも仲良くしてね!

岩井志麻子(いわい・しまこ)●1964年、岡山県生まれ。’86年にジュニア小説家としてデビュー後、’99年、『ぼっけえ、きょうてえ』で第6回日本ホラー小説大賞を、2001年には同作で第13回山本周五郎賞受賞。エッセイを含め、著書多数。コメンテーター、女優としても活躍。

西原理恵子(さいばら・りえこ)●1964年、高知県生まれ。武蔵野美術大学在学中にデビュー。’97年、『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞、2004年、『毎日かあさん カニ母編』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、’11年、『毎日かあさん』で日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞。著書多数。

対談した2人の書籍

サイバラ志麻子 悪友交換日記』(双葉社 税込み1760円)

毒舌ホラー作家・岩井志麻子×暴走漫画家・西原理恵子、初の共著! 身のまわりで起きるエロ事件をつづった赤裸々エッセイに、1コマ漫画で答える、“下品で下品を洗う!!”(by西原氏)女友達の交換日記的エッセイ。

 

『サイバラ志麻子 悪友交換日記』(双葉社・税込み1760円)※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします

取材・構成/我妻弘崇 撮影/山田智絵