亜硝酸塩や硝酸塩に要注意

 食品添加物にもさまざまな種類があるが、今回は発がんリスクがもっとも指摘されている添加物について教えてもらった。

「それはハムやソーセージなどの加工肉や、いくらやたらこといった魚卵製品の発色剤として使用が認められている亜硝酸塩や硝酸塩です。代表的なのは亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムの3つ。フランスの10万人以上の成人を対象とした研究で興味深いことがわかりました」

 24時間、食べ物の調査を行い、すべての食品の亜硝酸塩や硝酸塩の含有量を計算し、それらの摂取量とがんの発症率との関係を調べたところ、添加物としての硝酸塩(とくに硝酸カリウム)をもっとも多く摂取していたグループでは、もっとも少ないグループに比べて、乳がんのリスクが24%増えていた。

 さらに、添加物としての亜硝酸塩(とくに亜硝酸ナトリウム)をもっとも多く摂取していたグループでは、もっとも少ないグループに比べて、前立腺がんのリスクが58%増えていたという。

 一方、亜硝酸塩や硝酸塩は水や土壌などにも自然に存在していて、野菜などにも含まれていることがわかっているが、天然由来の亜硝酸塩などの摂取量とがんの発症リスクには相関が認められなかった。人工的に食品に添加した場合に、がんのリスクが上がるというわけだ。

「発色剤などの添加物が多く使われている食品は『超加工食品』と呼ばれますが、超加工食品もがんリスクを上げるという大規模な研究データがあります。添加物が加えられている加工品は保存ができるなど便利ではありますが、やはり、摂取量を減らすことは、がん予防につながると考えられます」

 もちろん、少量をときどき食べるくらいなら問題ないだろうが、たとえば毎朝のようにハムやベーコンを食べていたり、明太子やたらこに目がなくて毎晩のように食べています、といった人は要注意だ。

「明太子やたらこ、いくらや筋子といった魚卵の加工品は塩分も強いので、食べすぎれば間違いなく胃がんのリスクも上がります」

 また、子どものおやつやお酒のおつまみに、高タンパクで身体によさそうなイメージの魚肉ソーセージをよく食べているという人もいるだろう。商品によっては亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムといった発色剤が使われいてるものもあるので、よく食べる人は一度、原材料表記を確認してみてはどうだろう。

 食べ物の選び方次第でがんのリスクは変わる。食事は365日、毎日のことなので、リスクを上げる食べ物とは上手につきあっていきたい。

佐藤典宏先生●がん専門医、帝京大学福岡医療技術学部教授。著書に、がんのリスクを下げてくれる“抗がん食材”を使ったレシピ集『がんにも勝てる長生きスープ』、『がんにも勝てる長生き常備菜』(主婦と生活社)がある。

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