本や読書に関心を持つ佳子さま

1歳の誕生日を迎えた悠仁さま。ご家族で読書に親しんできた(2007年9月6日)写真/宮内庁提供
1歳の誕生日を迎えた悠仁さま。ご家族で読書に親しんできた(2007年9月6日)写真/宮内庁提供
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 '23年12月29日、佳子さまは29歳の誕生日を迎えたが、宮内庁皇嗣職は同年6月の佳子さまの次のような公的な活動を紹介している。

《「誰もが読書できる社会を目指す」ことについて、文部科学省と厚生労働省から説明を受けられました。例えば、目が見えない、見えにくい、文字や文章の認識が困難、本を持てない、本のページをめくれない、目で文字を追えないなどの状況にある人が、本や生活情報を読めるようにするための取り組みについてお聞きになりました。

 情報を、点字や音声、読みやすい文字の大きさや文章にするなどの取り組みが、ボランティアの支援も受けながら行われています。このような取り組みを、たいへん意義深く思われたと伺っております》

 翌'24年6月、産経児童出版文化賞贈賞式に出席した佳子さまは次のように挨拶している。

「本を読むことで、さまざまな想像をしたり、新しいことを知ったり、考えを深めたりすることができます。夢中になるひとときや、くつろいだ時間を過ごすこと、本を読む時間が心の支えになることもあると思います。幼少期に始まり、生涯にわたって多様な本に接する経験は、大切な宝物になるのではないでしょうか」

 佳子さまもまた、本や読書について深い関心を持っていることが理解できる。

《弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる》

 これは'15年、新春の歌会始で佳子さまが詠んだ和歌である。お題は、「本」だった。宮内庁の説明によると、姉が海外留学中で、秋篠宮ご夫妻が国内や外国を訪問して留守の間、弟の悠仁さまと佳子さまは一緒に過ごす。夜、就寝する前、弟に本の読み聞かせをしながら佳子さまは、仕事で遠くにいる母親、紀子さまのことを思った情景を詠んだものだという。

 前年の'14年12月、佳子さまは20歳の成年の誕生日を迎える前の記者会見で、このように答えている。

「弟につきましては、私は幼いころから弟か妹が欲しいと思っておりましたので、弟が生まれたときは非常にうれしかったことをよく覚えております。年は離れておりますが、ケンカをしたり一緒に遊んだりしております。最近は姉が海外にいて、また、両親も仕事で家にいないことが多かったため、ふたりで折り紙をしたり本を読んだりして過ごす時間もございました」

 このように、佳子さまと悠仁さまにとって、読書はとても大切な時間だったようだ。

 衆参両院の正副議長は1月31日、与野党各会派の代表者と衆院議長公邸で会談し、安定的な皇位継承に向けた皇族数確保を巡る協議を再開した。衆院議長は「今国会中に結論を得たい」と表明した。報道によると、女性皇族が結婚後も皇族に残れるようにする案を実現できるかが焦点となるらしいが、女性皇族の夫と子どもに皇族の身分を与えるのかどうかなどが課題となるとも指摘している。

 自民党などは、子どもを皇族とした場合、将来的に父方が天皇の血を引かない女系天皇の誕生につながる可能性があると反対しているという。

 もちろん、佳子さまはまさにこの議論の渦中の一人であり、議論の推移がとても気になるところだろう。この連載で何度か説明しているが、30年間もの長い間、「内親王は結婚後、民間人となります」と、言われ続けて育ってきた。佳子さまもそのように強く自覚している。それが、結論次第では結婚してからも、内親王としての仕事をやり通さねばならなくなる。そして、佳子さまの愛する夫と子どもたちは、皇族の身分となるのか、それとも民間人のままなのか。それも心配だ。

 今年、結婚35周年を迎えるご両親のように、佳子さまも当然、幸せな結婚を望んでいる。佳子さまばかりでなく私たちも、いろいろな意味で気をもむ事態が続く。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など