発表側には都合のいい言葉
大手芸能プロダクションも今年2月、同じような発信をしていた。
『弊社所属の一部タレントにつきまして、コンプライアンス違反の疑いがあることが判明したため』と唐突に公表したのは吉本興業だ。具体的なタレント名を明かすことなく、それでいて当該タレントが活動自粛することを伝えたことが、事態の深刻度を物語る。ネット界隈ではすぐさま、誰なんだ!というタレント名特定作業が行われる事態に陥った。結局はオンラインカジノ問題だったが。
芸能界を引退した中居正広さんのトラブルが発覚した際も、レギュラー番組2本を放送していたTBSテレビは「コンプライアンスに反する可能性がある事案」と受け止めたという。具体的な内容については把握できていないにもかかわらず、危険な匂いを感じ取り、コンプラ違反の可能性を嗅ぎ取ったのである。
どこもかしこも“コンプラ違反”である。
その言葉についてまわるのは“守秘義務”で、両者が合体すると事実は隠ぺいされ、あいまいさだけが残る、という事態を招く。
逮捕もパワハラ・セクハラも性加害疑惑も、みんなまとめて“コンプラ違反”。そんな昨今の芸能界の風潮に、前出・スポーツ紙芸能担当記者は不満たらたらだ。
「コンプラ違反という説明は、発表側にとっては都合がいい。具体的なことに踏み込む必要はなく、それでいてタレントが何かやらかしたことを伝えることができるわけですから。上村謙信のような逮捕案件もあれば、生島のようなパワハラセクハラのケースなど中身はさまざま。次のコンプラ違反を生まないためにも、可能な限り中身を発表することのほうが、再発防止につながると思いますけどね」
一理ある。