では、オンラインカジノが認められている国では、問題は起きていないのか?
イギリスではギャンブル依存症の問題が深刻化
「イギリスでは、2005年に規制緩和を行ってオンラインでのギャンブルも認めたのですが、ギャンブル依存症などの問題が深刻化しました。2023年にイギリス政府の発表したリポートでは、従来の規制が時代遅れで、適切な規制強化が必要であるとされました。
オーストラリアもギャンブルが盛んな国ですが、近年ではオンラインのギャンブルは危険であるとして、クレジットカードの利用が禁止されるなどの規制強化がなされています。このように利用を認めている各国でも、オンラインのギャンブルに対する規制強化の議論が急速に進んでいるのです」(鳥畑与一名誉教授、以下同)
その影響で、日本が“食い物”にされているという。
「欧米では、正式なライセンスを持たない企業の違法サイトへのアクセスをブロックするなど、取り締まりを強化しています。こうして欧米市場から排除されたオンラインカジノ企業が、規制する体制が整っていないアフリカや南米、そして日本をターゲットにしているのです。
実際にオンラインカジノのサイトを覗いてみると《運営元が海外にある場合、日本は取り締まれない》といった説明であふれています。ちなみにオンラインカジノを運営するのは、多くが株式市場に上場するような大手企業です。日本も国民を守るために、早急に防衛措置をとっていただきたい」
どうしてオンラインカジノにハマってしまうの?
日本国内の状況はどうか。『ギャンブル依存症問題を考える会』の田中紀子代表は、
「日本では、2023年ごろからオンラインカジノに関する相談が全体の2割を占めるようになりました。2020年からのコロナ禍でオンラインカジノを利用した人たちが、2~3年という短期間で依存症になってしまいました。
オンラインカジノは、24時間365日利用できて、1回のゲーム時間が圧倒的に短い。際限なく賭けることができ、あっという間に依存症が進行していくのです」
と話し、未成年までもが違法賭博に手を染めてしまう異常な事態を明かす。
「当会には、20代から30代の若者を当事者とする相談が急増しています。特に大学生の間で、オンラインカジノの利用が蔓延している。ギャンブルで、大学を休学や中退した末に、闇バイトなどの犯罪行為に手を染めてしまう子もいます。
全体の数%ですが、相談に来る方の中には、高校生が600万円をオンラインカジノに使ったというケースもありました。オンラインカジノにのめり込み、親の口座やクレジットカードを勝手に使用するのです」(田中紀子さん)
