身内にも一線を引いていたようだが、関心がないわけではなかった。
「私は雑誌でエッセイを連載していたのですが、伯母から“康夫は文才あるわ”と電話で激励してもらったことがあります。私の仕事を気にかけてくれていたのだと思います」(中西氏、以下同)
復帰への意欲を語っていた
最後にいしださんと会ったのは、亡くなる1週間前だったという。
「伯母の妹にあたる、私の母と一緒にお見舞いに行きました。ベッドに伏せながらも“来週には退院したい”と、復帰の意欲を語っていたのですが……」
中西氏は、いしださんの生き方を“すべてを女優業に捧げた人生"だったと語る。
「『北の国から』での撮影で、伯母は長距離の雪道を歩いてきたという設定の役を演じるとき、それがワンシーンであっても、実際に長時間を寒空の中で待つような人。普段の生活すべてが役作りだったんだと思います」
演じることを愛し続けたいしださん。その思いは彼女が出演した数々の作品の中で生き続ける─。