目次
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ー 『timelesz版プロフェッショナル 仕事の流儀』
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ー タイプロは「本人たちに決めさせる」
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ー 4 キツいことは自分たちも一緒にやる

 4月20日からスタートしたバラエティー番組『タイムレスマン』(フジテレビ系)。“新生タイムレス”が8人揃って初めて冠番組を務め、話題になっている。そこで、高視聴率を獲得してタイムレスの名をファン以外に広く認知させたオーディション番組『timelesz project AUDITION』(以下タイプロ)がなぜそれほど人気を得ることができたのか、ライターの仁科友里さんに振り返ってもらった。

『timelesz版プロフェッショナル 仕事の流儀』

 ジュニアとして活動し、そこから頭角を表した人がデビューというスタイルが一般的だったことから考えると、この番組のオーディションは異例ですし、掟破りと言えないこともない。3人が築き上げたtimeleszというブランドにひょっこり新参者が入ってくることに抵抗感を覚えた人も当初はいたのではないでしょうか。

 にもかかわらず、高視聴率だったのは、この番組の見どころが「新メンバーの選考」だけではなかったからだと思うのです。実はこの番組で浮かび上がったのは、timeleszのメンバー三人の“人間力”ではないでしょうか。

「新メンバーなんて認めない!」と思っていた人も、それほどアイドルに興味がない人も引き込まれていったのは、timeleszメンバーの仕事に向かう姿勢、気配り、ファンへの思いに心打たれたからだと思います。私にはこの番組は『timelesz版プロフェッショナル 仕事の流儀』に見えたのでした。

 テレビでのオーディション番組というと、昭和の時代には山口百恵さんらを輩出した『スター誕生』(日本テレビ系)、平成ではモーニング娘を生んだ『ASAYAN』(テレビ東京)が思い浮かびます。これらの番組と『タイプロ』が明らかに違う点は、『タイプロ』では主な審査員がメンバー三人だったこと。

『スタ誕』や『ASAYAN』では有名作曲家や、小室哲哉さん、つんく♂さんら有名プロデューサーが審査していました。『タイプロ』もプロにまかせるという手はあったかもしれませんが、それをしなかったのは今回のオーディションの目的のひとつが“仲間さがし”だったからだと思います。

 ニューカマーは三人のメンバーに比べればダンスや歌ではかなうはずもありません。それなのに、あえて“仲間"というフラットな目線で表現するあたりが今風の気遣いと言えるかもしれません。この番組には明らかに、昭和や平成のオーディション番組とは違う気配りを感じました。