小室ブームの到来

 '90年代中盤に入り、小室哲哉プロデュースの歌手が軒並みヒットを飛ばすという《小室ブーム》が訪れる。

「それに目をつけたのがテレビ東京で放送していた『浅草橋ヤング洋品店』(のちに『ASAYAN』に改名)です。小室哲哉プロデュースのオーディションコーナー『コムロギャルソン』がヒットし、夢のオーディションバラエティーへと変貌していきました。電通のプロデューサーが加わってテレ東の番組でも大きなタイアップをとれるようになり、小室プロデュースの鈴木あみ(現・亜美)などを発掘しました。

 また、番組で募集された三井のリハウスガールオーディションでは女優の池脇千鶴を発掘。LUNA SEAの河村隆一プロデュースの女性3人組や、女優の中村ゆりもパッパラー河合プロデュースのYURIMARIでデビューしています。最大のヒットは、'98年につんく♂がプロデュースしたモーニング娘。で、後藤真希が加入してからは社会現象となり、プロデュースブームを巻き起こしました」

 しかし、大人気のモーニング娘。が離れていくとともに、番組は次第に勢いをなくしていき終了を迎えた。

番組放送中が人気のピークだった? NiziU
番組放送中が人気のピークだった? NiziU
【画像】昭和~令和まで「オーディション番組」の歴史年表

「オーディション番組は衰退したかと思われたのですが、再び火をつけたのは日本テレビ系の『スッキリ』というワイドショーでした。そのうちのコーナーでEXILEの新メンバーオーディションを放送し、放送当時からTAKAHIROさんは人気で、当時の主婦たちがこぞって応援したといいます。

 この手法が成功したからか、同番組では『NiziU』や『BE:FIRST』のオーディションも放送し、特にNiziUオーディション時はコロナ禍だったこともあってリモートワークなどで放送を見ている視聴者が多く、ワイドショーを見ない層にも人気が広がりました。もっともNiziUはオーディション時がピークで現在の活動を応援している視聴者は少ないのかも……」

 ワイドショー内で放送したことでファン層の違いもあったという。

「朝のワイドショーで放送されていたBE:FIRSTと日曜日の昼に放送されていたINIはデビュー日が同じだったんです。渋谷のTSUTAYAではビーファファンには中高年が、INIファンには10代、20代が集まり、ファン層の違いが色濃く表れていました。また、BE:FIRSTはプロデューサーのSKY-HIが独断で選ぶのに対してINIなどは国民投票ということもあり、視聴者がプロデューサーの目線で候補者を見ていたのも特徴的」