と吉田さんは目をうるませる。小泉元首相の訪朝後、めぐみさんは自殺したという北朝鮮側の調査報告が出たり、写真が出てきたり、ニセ遺骨が返還されたりしたが─。

「写真は撮影場所など偽装工作はあるようですが、めぐみさん本人だと思った。遺骨はもう論外ですよ。実子とされるキム・ウンギョンさんは彼女と似ています。ただ、娘さんや元旦那さんが“自殺した”と証言していますが、それは言わされていると思う。彼女はいまでも生きている。

 もちろんボクらの願いでもありますが、死んだという決定的な証拠は出ていませんから」

 と吉田さんは強調した。

 そんな彼は、めぐみさんのご両親と食事をすることがある。

「節々でつらさが垣間見えます。クリスマスがとてもつらいらしい。“めぐみが笑顔で楽しかったクリスマスを思い出す”って。娘さんがいなくなって、人生の半分を費やしておられる。生きているのか死んでいるのかわからないまま、生き地獄ですよ。おふたりが元気なうちに、なんとかめぐみさんと会わせたい!」

 と目を赤くして訴えた。親子の再会がかなったら、同級生として考えていることがある。

「38年の歳月は重い。日本で暮らしてゆく困難が現実にはあると思うんです。だから、同級生のボクたちとカラオケでも行って、得意な歌を聴かせてほしい。ゆっくりと少しずつ、慣れていけばいい。失われた青春を少しでも取り戻してもらえたらいい」


<フリーライター・ 山嵜信明>

*本記事は『週刊女性』11月24日号の内容に加筆修正したものになります