放送中のドラマ『釣りバカ日誌』(テレビ東京系)。新キャストの演技も好評だが、そもそもは漫画が原作。そこで、作画を担当する北見けんいち先生に、ドラマや映画に対する思い、釣りバカ誕生秘話、気になる今後の展開まで深掘りインタビューした。
「毎週見るのが楽しみ! 録画しているから今も映るよ」
そういってテレビをつけ、ドラマ『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』を流し始めた。
今回のドラマでは、映画で万年平社員の“ハマちゃん”役で親しまれていた西田敏行が、社長の“スーさん”役を演じている。原作『釣りバカ日誌』の作画を担当する北見先生も、この配役はお気に入りだそう。
「ハマちゃんがふたりいるみたいで面白いよね~。西田さんのアドリブが多いらしいけど、ハマちゃん役の濱田岳がまた上手だよね」
映像を見て笑いながら、新キャストを絶賛! なかでもゾッコンなのは、“みち子さん”を演じる広瀬アリスだ。のちにハマちゃんの奥さんとなるこの役。映画で演じていた歴代の女優も好きというが、広瀬をこう絶賛。
「あの子は図抜けて好き!(笑い)オードリー・ヘップバーン以来の衝撃を受けた。今回の役が合っているし、大物になりそうな予感がする」
新たな釣りバカの世界にたいそうご満悦のよう。ドラマの盛り上げには北見先生もひと役買って、2話目にちょっとだけ出演している。
「原作者のやまさき十三さんと陣中見舞いで撮影現場に行ったら、監督から出てみないかと言われてね。最後のほうに居酒屋の客として十三さんと一緒に映っているよ」
『釣りバカ』が国民的に愛されるようになった理由のひとつに、'88年から'09年まで上映された映画の存在がある。スーさんを演じてきた故・三國連太郎さんは役のイメージがつくのを嫌い、1作だけの出演と決めていた。
しかし、街中で「スーさん」と声をかけられるのがうれしくて、続けたのだそう。さらに、北見先生がこんな素顔も明かす。
「映画にもちょっと出たことがあるんだけど、そのとき三國さんは俺らが映るようにカメラの向きをわざわざ変えてくれて。細かい気配りができる人だった。西田さんも面白くていい人だよ」
そもそものマンガは'79年に連載がスタート。北見先生に作画の依頼が来たとき、すでに原作はできていたという。
「当時、俺は赤塚不二夫先生のアシスタントをしていてね。『釣りバカ』の作画候補は4人いたんだけど、赤塚先生のようなギャグっぽいタッチでやりたいということで、声がかかったの。草野球に行ったら知り合いの編集者に“仕事あるよ”と言われて。カット絵の仕事かと思ったらページもあると聞いて、やってみようと思ったんだ」
当初は完全な釣りマンガだったが、あるときからサラリーマンものに。そこにはこんな事情が絡んでいて……。
「初代の担当編集者が釣り好きだったんだけど、アウトドア雑誌ができて引き抜かれちゃったの(笑い)。2代目の編集者は全然、釣りがわからないということで、建設会社を舞台にしたサラリーマンものになったんだ。そうしたらバーンと人気も出てさ」
スーさんは最初からいたキャラではないのだ。驚きの事実はまだまだある。
「俺、釣りは好きじゃないんだよね(笑い)。書き始めたころはやったことなくて。最近は与論島に行ったときに、ルアーフィッシングをたまにするけど。とはいえ、肉のほうが好きだしね(笑い)」