日本人の2人に1人がかかり、3人に1人の死亡原因だといわれる、がん。日夜、さまざまな治療法が紹介されているほど、国民の関心事といっても過言ではない。そこで街の人に、がんについての意見を聞いた。
「告知されたほうがスッキリすると思います。病名がはっきりしていれば闘病生活も覚悟して臨めるし、最悪のことも想定して残された時間で何ができるか考えることもできる。悔いが残るような闘病はイヤです」(40代・女性)
「そもそも自分の性格を考えると、がんだと告げてほしくないかな。現実と向き合えずに精神的にズドンと落ち込むと思う。しかも、独身なのでサポートしてくれる人もいないし……」(30代・女性)
「子どもも生まれたばかりですし、ネガティブなことは考えたくない。もしもなってしまったら……そのとき考えます」(30代・男性)
向き合い方は人それぞれ。
「告知はしてほしいけど、“末期”であるなら伏せておいてほしい。一概に宣告といっても、状況によって変わるはず。配慮はあってしかるべき」(50代・女性)
「宣告を受けるところを想像したくない。宣告されたら、家族といたいか、ひとりになりたいか、どう考えるようになるのか……」(40代・男性)
「怖いとか死にたくないとか、自分の弱い部分を見せることができる場所があってほしい。家族、恋人、感情を吐き出せる人がいてくれるだけでいくらか気分が落ち着くと思う」(40代・女性)
テレビ番組をはじめ、がんの予防に関する情報を目にする機会は多いけど、がんになってからの対処や心構えを知る機会は少ない。闘病はウイルスと闘うだけではなく、気持ちの面でも闘わないといけない。
「がんと告知されたときは、何で自分だけがこんな目に遭わなくてはならないかと怒りがこみ上げてきた。目の前が真っ白になって、どうやって家に帰ったのかも覚えていない」(50代・男性)
「タバコも吸わずお酒もそんなに飲まないのにがんになりました。どう受け止めていいのかわからなかったが、家族や医者の温かい言葉で前を向けるようになった。“ひとりではない”、そう思える環境があるかないかでは雲泥の差だと思います」(40代・女性)
がんの患者会や相談センターなどもあるので、自分ひとりで抱え込まないようにすることが重要。
「うちの母は余命1か月と言われてから、もう10年以上生きています。医者が手を尽くしたあと、本人が回復できるかできないかは神様でもわからないんだなって(笑い)」(40代・女性)
もちろん、逆のケースもあるだけに判断は難しい。
「どんな結果になっても、がんに生き死にを左右されるのではなく、自分の意思で“そうなった”と思いたい。たとえそれが右往左往してあがいている姿に見えようとも、それって生きている証じゃないですか」(60代・女性)