★男性の尿もれ原因は…
尿もれは、男性と女性では起こるメカニズムが異なります。いくつかのタイプがありますが、男性に多いのは「過活動ぼうこう(切迫性尿失禁)」。ぼうこうが過剰に反応して、不安定になることが原因で起こります。強い切迫した尿意が特徴で、尿をためて我慢することが難しくなります。急に尿意を感じてトイレに行くが間に合わない、夜中に何度もトイレに行くなど、日常生活に支障をきたす度合いが強くなります。
また、「前立腺肥大症」になると、肥大した前立腺が排尿筋などを刺激して、尿が近くなり、切迫性尿失禁が起こることも。前立腺肥大症の男性の半数に尿もれの経験があるといいます。
男性の場合、40歳を過ぎると尿のキレの悪さを実感する人が多くなりますが、これは「排尿後滴下」といい、老化現象のひとつで医学的には病気ではありません。排尿後、しっかり振って尿道に残った尿を出し切ることしか解消するすべはありません。
※前立腺・・・・・・前立腺は男性にしかない臓器で、ぼうこうのすぐ下、尿道を囲むように存在。前立腺肥大が起こりやすくなるのは50歳以降。70代ごろには進行が止まり、大きくなり続けることはない。
★女性の尿もれ原因は…
女性の尿もれは、くしゃみや咳をしたときなど、お腹に力が入った瞬間にもれる「腹圧性尿失禁」が多数を占めます。閉経するころになり、女性ホルモンの分泌が少なくなると、ぼうこう・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋や、尿道を締める筋肉の働きが弱くなってしまうことが原因にあります。
女性は加齢とともに、過活動ぼうこうが進行した「切迫性尿失禁」が増える傾向にあり、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁をあわせもつ「混合性尿失禁」を起こしているケースも少なくありません。
また、尿もれは「骨盤臓器脱」という病気の症状として現れることがあります。骨盤臓器脱は、骨盤底筋のゆるみから骨盤内の臓器(ぼうこう、子宮、直腸)が下垂して、その一部が体外に出てしまうこと。こうなると専門的な治療が必要です。
※骨盤底筋・・・・・・骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋は、出産で損傷を受けやすく、加齢によって衰えて不安定に。骨盤底筋は男性にもあるが、男性は出産することがないため、ゆるみは起こりにくい。
◎教えてくれたのは、野村昌良先生
亀田メディカルセンター・ウロギネコロジーセンター長。日本でも数少ないウロギネコロジー(骨盤臓器脱、尿失禁)専門医。ウロギネコロジーは泌尿器科(urology)と婦人科(gynecology)を合わせた造語。泌尿器科と婦人科の境界領域にある病気に関する専門診療科で、ウロギネ外来として知られる。
■次は「尿もれを改善する方法」