いい父親ほど熟年になると豹変しやすい
「まじめだった夫が豹変するケースは珍しくない」
行政書士で男女問題専門家の露木幸彦さんは言う。
「傾向として、小遣い制の家庭の夫は鬱憤がたまりやすい。また、浮気の予兆としては、親戚の集まりに出なくなったという例も。いい夫、いい父親ほど熟年になると豹変しやすく、定年後に再雇用先で若い女性と関係をもつケースも多い」
子どもも成人し、自身が定年を迎えたとき、男性は一応の責任を果たしたとホッとする。と同時に、人生を振り返って急にやるせなくなるのかもしれない。家族のためにひたすら働いてきた、しかし自分の人生はこれでよかったのか、と。そこにたまたま自分を思ってくれる女性が現れたら、ふらふら向かっていってしまう可能性は誰にでもある。
「夫の仕事や家庭でのストレスに妻は案外、気づいていないのではないか」(露木さん)
ストレスがあるから夫が不倫に走るとは限らないが、妻が「理想的な家庭」と安穏としているとき、実は夫にはほかに女性がいたのだ。夫婦の気持ちには、常に温度差や齟齬があるのかもしれない。
「不満に思っていることは、きちんと話し合うべきです。例えば老後、どちらかが倒れたらどうする? と具体的な話をして、相手の気持ちを探ることも必要かもしれません」(露木さん)
取材・文/亀山早苗。ノンフィクション作家。男女、恋愛、性の問題等をテーマに執筆活動を行う。近著に不倫妻66人の告白本『妻たちのお菓子な恋』(主婦と生活社)ほか。