スマホの使いすぎは万病のもと。便利に使いこなしているつもりのスマホに、現代人の多くは逆に使われている、知らぬ間にスマホに支配されているのではないか。医療関係者がそのように警鐘を鳴らす、スマホ発の体調不良が、ジワリジワリと利用者をむしばんでいるという。
スマホの使用をやめなければ、身体は当然、悲鳴を上げる。だが、利用者は兆候を見逃す。悲鳴はやがて、具体的な症状に変わる。肩こりや首こりを放置することなく、異常が出たらすぐに手を打つ。それが症状を悪化させないための第一歩だ。
“スマホ体調不良”から抜け出すための対策を川井筋系帯療法治療センターの川井太郎院長に教えてもらった。
「姿勢が下向きにならないこと、必要なとき以外は使わないことが一番のポイントです」
さらに川井院長はこう呼びかける。
「空き時間の暇つぶしをスマホで埋めるという考えはNG。必要な情報を得たら毎回、閉じるように心がけましょう」
さかいクリニックグループの酒井慎太郎代表院長の対策はこうだ。
「枕なしで寝ることをおすすめします。高い枕をしていると、ひと晩中、首や肩の筋肉が引っ張られた状態でいることになります。スマホもパソコンも、画面を目の高さに持ってくることが理想です。スマホに身体を合わせるのではなく、姿勢を正した状態でスマホを身体に近づける、という意識を持ちましょう」
川井院長と酒井院長がすすめる正しい操作姿勢のポイントは、スマホを持たないほうの腕を身体の前で横に構えて逆の腕の土台とすること。肩や首の負担を軽減しながら、画面の位置を顔の高さでキープしやすくなる。
「首をゆっくり回す、ウエストを左右に大きくねじる、前後屈を繰り返すなど、ラジオ体操のような動きがおすすめです。目からの刺激を遮断し副交感神経を刺激するには、蒸しタオルを目の上に置き、休ませるなどが有効です」(浅川クリニックの浅川雅晴院長)
また、東京脳神経センターの松井孝嘉理事長は筋肉を温める大切さを説く。
「首の後ろに両手を当てて頭を30秒間後ろに倒し、首の筋肉を緩めてください。15分に1度行うと効果的です。ホットタオルで首を温めるのもいいでしょう」