「妊娠の心配をせずにセックスを楽しみたい」と、低用量ピルを飲んでいる人もいるのでは。低用量ピルは正しく服用すると、避妊だけでなく、月経痛や月経不順を軽減することでも知られている。
しかし、「ピルを飲むことで性欲がなくなる人が少数ですがいらっしゃいます」と語るのは、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了・LUNA骨盤底トータルサポートクリニック院長の関口由紀先生。
セックスを楽しめるはずが、したくなくなるなんて、どういう理由なのだろうか?
「性欲を増進させるのは女性の中にもある男性ホルモンですが、ピルを飲み続けることで女性ホルモンのバランスは整うけれど、身体が利用できる男性ホルモンが減ってしまう。
そのため性欲がなくなってしまうことがあるのです。ピルの種類を変えることで、性欲が戻る人もいるので、気になる人は医師に相談してみるといいでしょう」
また、閉経後は妊娠することはなくなるが、セックスを楽しみたいと思っても膣の老化によって性交痛が出てくる人も。前ページのような医療機器で膣の若返りを図るほか、ホルモン補充療法(HRT)で性機能を維持するという方法も。
「HRTは、加齢による卵巣機能の衰えにより分泌が減ったホルモンを薬で補う治療法です。女性ホルモンのエストロゲンを補充することで、膣の潤いが戻り、骨盤底筋の衰えを防ぎ、セックスライフが楽しめるようになります。
HRTは保険適用で、更年期のホットフラッシュや自律神経の不調の改善、骨粗鬆症の予防と改善などの効果も。種類として飲み薬、貼り薬、塗り薬があり、症状に合わせて処方します。一方、がんの治療中や高血圧など健康状態によってはHRTができないと判断されることもあります」