「よくここにいることがわかりましたね。いやー、ビックリしましたよ」
突然の取材に対して驚きながらも、笑顔でお店から出てきた元演歌歌手の香田晋。彼は3年前に突然、芸能界から身を引き、それ以後は1度として表舞台に出たことはない。
「’12年4月に体調不良を理由に休養に入ると、数週間後に所属事務所との契約を終了。香田は何も語らず、芸能界から引退したんです。なので、金銭トラブルなど、引退理由はいろいろと憶測が飛び交いました」(スポーツ紙記者)
作曲家・船村徹氏に弟子入りした香田は、’89年にデビューすると、’94年にはNHK『紅白歌合戦』に出場。また、’05年ごろからはクイズ番組での珍解答がウケ、"おバカ"キャラとしてもお茶の間の人気者となった。
そんな香田が現在は福岡県内で飲食店を経営し、板前として腕を振るっているという情報をキャッチした。本誌がさっそく遠賀郡にあるその店を訪ねると、料理の仕込みをする手を休めて、徐々に重い口を開いてくれたのだった。
「一昨年の暮れに、福岡に引っ越してきたんです。中学2年生まで北九州で過ごしましたので、やはり福岡には思い入れがあったんです。芸能界を辞めてちょうど3年になりますし、生活のためには何かしないといけないので、それじゃ、好きな料理をしようと。だったら、自分の味を出せるお店を開こうということになって、昨年9月からこの土地で始めたんです」
遠賀郡は福岡市内から車で1時間以上かかる。しかも、築100年はたっていそうな古民家。なぜ、このような場所でお店を始めたのだろうか。
「ここで流行ったらカッコよくないですか。この集落には、ここしか店がないんですよ。博多の街中だったら、どこにでも飲食店があるし、お客さんはウチじゃなくてもいいかもしれない。でも、ウチの店は、ここで食べるためにわざわざ遠賀まで来なくてはいけないんです。大切な時間を割いて来てくださるんですから、僕も真剣に向き合って料理を出す。自信を持って出したいので、完全予約制でやらせてもらっているんです」
そう語る香田に笑顔が浮かぶ。彼が描いた絵画や書が飾られた店内は、多国籍料理を意識した独特の世界観があふれている。オープンから約半年。口コミで徐々に客は増え、常連客がついてきたことも、自信となっているようだ。