コラムニストで、ロイヤルファミリーに一家言ある辛酸なめ子さん。
「ほとんど活字中毒ですね。読書は呼吸をするようなもので、毎日1度は本に触れています。手軽に現実逃避ができるツールですね」
ロイヤルファミリーの魅力をこう語る。
「ロイヤルの魅力は、キラキラした憧れと、それの裏にあるドロドロした部分のコントラスト。テレビなどでは、皇族の方の素顔に迫ることはなかなか少ない。でも書籍では、ベールに包まれた皇族の方の姿を垣間見ることができます」
皇室ウォッチャーでもあるなめ子さんに、ロイヤルの素顔がわかる本を挙げてもらった。
「“ヒゲの殿下”という愛称でも親しまれた寬仁親王に迫ったノンフィクション『悪童殿下』です。学生時代から亡くなるまでを追っているのですが、“異端の皇族”と呼ばれた寬仁親王の非凡な生涯を読むことができ、チャーミングな素顔が目に浮かぶような本です」
寬仁親王は'75年にニッポン放送の『オールナイトニッポン』のDJを務めたり、テレビ朝日系『徹子の部屋』に出演するなど、数々の武勇伝を持つ。
「声帯を切除された寬仁親王は“声の出ない皇族なんて、皇族じゃないよね”と電気声帯を使って発言したり、アルコール依存症になったときは“皇室はストレスのかたまり”と述べるなど、素直な発言が多かった。タイトルのように、皇族の中では“悪童”であっただろう寬仁さまの魅力がわかりますよ」
寬仁親王とは反対に、王道を歩む今上天皇・明仁さまが皇太子だった時期を切り取った1冊もオススメだと、なめ子さん。
「(当時)皇太子さまの英語の家庭教師を務めたE・G・ヴァイニング夫人が記した『皇太子の窓』には、終戦から1年たった'46 ~'50年ごろの皇太子さまのお姿が描かれています」
本の中では夫人が皇太子を“天皇になられる方は違う”というように、勉強ができる、度胸があるというエピソードがズラリ。
「なかでも巻末にマッカーサーと英語で対談したときの文字起こしがあるのですが、語学力の高さに驚きました。そういうお姿は、見ることができませんから」
本著では、歌会始などの宮中行事や、満開の桜、雅楽の演奏など、宮中での景色も知ることができる。
「最後の1冊は『世界の王室うんちく大全』。この本にはたくさんの家系図とともに、世界の王室が紹介されています」
日本で暮らす者にとって、ロイヤルファミリーはとてもなじみ深い存在。だが現在、王室の残る国は30か国を切っている。
「ロイヤルファミリーの代表格といえば、イギリスを治めるエリザベス女王。63年と216日で在任期間最長記録を誇ります。この本の中にある家系図を見ると、エリザベス女王のいるイギリス王室をはじめ、ヨーロッパの国々の王室は多くが親戚関係にあることがわかります。続柄によっては国の中にも上下関係がある、ということもあって奥深い。私は自分好みのイケメンを見つけたときに、まず家系図を確認しています」