【タイムリー連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】5月11日、英紙『ガーディアン』が報じた、2020年の東京オリンピック招致を巡っての招致委員会側の裏金疑惑。さらに18日、この夏開催されるリオオリンピックに向けて行われた、バレーボール女子最終予選、日本対タイ戦において、タイ側に2枚のレッドカードが出されるという、さまざまな憶測を生む判定。いずれもあくまで疑惑に過ぎないながらも、本来純粋であるべきスポーツの背後に、少なからずお金の存在がちらついていることは否めない。次々と浮上する、スポーツとお金にまつわる問題を巡って、フィフィは何を思うのか。
スポーツファンとアイドルファンが混在する試合会場
90年代、ロシアのナショナルチームの追っかけをしていたこともあり、バレーボールの試合会場に足を運ぶ機会が多かったのですが、その度にいつも腑に落ちないことがありました。
ご存知の方も多いと思いますが、バレーボールの試合が行われる前には、突如アイドルがコート上に現れ、試合会場がコンサート会場へと変貌します。それゆえ、会場にアイドルのファンが多く集まるという異様な状態に陥り、集客が目的だとは言え、いつも違和感を感じてしまうんです。これは良くも悪くも日本独特の現象だと言えると思います。
フィギュアスケートなどもそうですが、バレーボールは他のスポーツに比べると、その良さが広まっているとは言い難く、世界的にはいまだに集客数が少ない。そのため、アイドルなどをオフィシャルサポーターにすることで観客、視聴率を簡単に増やしやすい日本が試合会場となることが多いのかもしれません。
そして日本で行われる試合。純粋なスポーツファンは、自国の勝敗だけではなく、他の国の優れた選手のプレーや試合内容、勝ち負けにも関心を持てるので、日本がたとえ負けて不在の試合でも十分に楽しむことができます。
しかし、試合を単にお祭り騒ぎをするきっかけとしか考えていない人たちにとって、日本が勝つか負けるかだけが重要な問題。そうしたミーハーな人たちの存在がある以上、広告代理店やメディアなど関係者は、数字を取るために何としても日本に勝ってもらいたい、となってしまうのでしょうね。
日本はスポーツを食い物にしている?
18日に行われたリオオリンピック出場のためにも絶対に負けられない女子バレーボールの日本対タイ戦。1点を争う接戦が繰り広げられるなか、タイ側に出され、日本にとって有利に働いたと思われる2枚のレッドカードの存在がありました。
こういったケースは、これまでも試合の節々に見受けられましたが、今回の件で私たちスポーツファンのなかに募っていた不信感、つまり数字を求めるあまり、スポーツそのものに何らかの力を働かせているのではないかという疑惑をさらに強めました。日本代表が出ていなければビジネスにならないからといって、もしも金と権力にものをいわせて試合を動かしているとしたらそれは大きな問題です。
スポーツの背後に渦巻く、お金を巡る不穏な動き。東京オリンピック招致に際しての裏金問題を巡っても、今後国際社会から非難の声が一層高まることだってありえるかもしれません。スポーツが食い物にされているとも思われかねない昨今の状況を見ていると、日本はオリンピックのホスト国には向かないと私は思ってしまいます。
《構成・文/岸沙織》