■束縛男もジジ臭い男も絶対イヤ

 婚活して2年になる小池裕子さん(仮名・66)は、一時は婚約したものの破棄した経験がある。

「夫の浮気が原因で離婚して3年たちます。再婚したいのは経済的な理由もあるけど、それ以上に精神的に伴侶が欲しいと思ったから。婚約した男性は経済的には豊かな人でしたが、婚約したとたん本性が見えてきたんですよ」

 それまでは裕子さんの意見を尊重してくれていたが、婚約すると「車の運転はダメ」「マニキュアはダメ」とダメ出しが始まった。

 最初は彼の言うことを聞こうと思っていた彼女も、だんだん自由がなくなっていくことに恐怖感を覚えるようになった。

「彼は経営者でとても尊敬できる人だったんですが、あまりに細かく、私の言動を規制してくるのでつらくなってしまったんです。この年齢になったら“自分”というものがありますから、そこを曲げてまで結婚しなくてもいいと思い、婚約を解消しました」

 年齢がいっているからこそ互いを許し合い、おおらかに見守り合えればいいのだが、どうしても男性は自分のこだわりを相手に押しつけてしまいがちだ。それをはねつける強い女性が増えてきているのだろう。

「いくつになっても恋愛したい、ときめいていたい。そう思うけど、現実はなかなかうまくいきません」

 ときめく先には現実の生活がある。ふたりで老いていくというある種の覚悟が、中高年の婚活には必要なのかもしれない。

 2回の離婚を経て、今も婚活をしている小林圭子さん(仮名・71)が相手に望むのは「若々しいこと」だという。

 最初の結婚が破綻したのは55歳のとき。子どもたちが独立したのを機に、性格が合わない夫に離婚届を突きつけた。

「長年、女性問題で苦しめられました。住んでいる家をもらって離婚。そのころちょうどささやかながら親の遺産も入ったので、パートで働きながら生活してきました。でも恋愛したい、ときめきたい、という気持ちは消えなかった」

 彼女は将棋教室やスポーツジムなど男性がいそうなところに出向き、気の合う同世代の人を見つけて事実婚へと踏み切った。

「ところが、相手がなんだかジジ臭くて(笑)。私はふたりで外出して楽しみたいのに、いざ一緒に住んでみたら相手は家でじっとしているだけ」

 彼が性的な関係を拒否したことも彼女をイラつかせた原因のひとつ。

「結局、半年足らずで彼とは別れました。もう男なんていいやと思ったけど、やはりパートナーは欲しいから、また婚活を始めました。今度はもっと明るくて楽しい人がいい。この年で求めるのはそれだけですね」

取材・文/亀山早苗

図・イラスト/イケウチリリー