2月29日、大阪市鶴見区にある市立茨田北中学校の全校集会で寺井壽男(ひさお)校長(61)がこう発言。
「女性にとって最も大切なのは子どもを2人以上産むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」
そう話し、子育てをしたあと大学で学べばいいと語った。さらに“身体の具合で子どもに恵まれない人、結婚しない人も、親に恵まれない子どもの里親になって育てることができる”と言及。
「なんでそんなこと言われなあかんのかわからへん。押しつけがましい」
同校に通う女子生徒は、全校集会でが話した講話の内容について激しい口調で非難した。大学に行きたいか、社会で働きたいかと尋ねると、小さくうなずいた。
2日後、大阪市教育委員会に、同中学校に通う3年生の女子生徒の保護者から匿名で、“娘が傷ついたと話している。不適切な発言ではないか”と連絡があった。
寺井校長は9日に市教委に呼ばれ、生徒に謝罪するよう求められたが、校長の返答は「通報者を特定できたら説明する」というものだった。
今回の処分については、市教委はこう話す。
「現在調査中です。事実を精査し、事実に基づき処分をするか検討します」
学校周辺の住民にも話を聞いてみると……。
「私は産めなかったから、ムカッときましたね。頭にくる。許せない」
近隣に住む女性は怒りを隠せない。隣で話を聞いていた夫もこうバッサリ。
「妻みたいな身体の人の気持ちを考えないで、公人として発言するあいつはバカだよ」
同中学に通う子どもを持つ保護者は、こう眉をひそめた。
「そこまで取り上げることかなって感じです。でも校長先生だから上から目線なんですよ。子どもに聞かせてもまだわからないんじゃないかな。意見はいろいろあるけど、あの場で言うことではないよねえ」
生徒はどう感じたのだろうか。
「なにバカなこと言っとるんやろうって感じやった。普段から自分の意見を押し通す感じ。授業を見に来て、“そこは違う”って先生に絡んだり」
そう辛辣な言葉を並べる女子生徒。男子生徒では、こんな意見も。
「感じのいい先生です。授業を見に来て“黒板の丸写しはダメだよ”とか、ためになることを言います。あの話は、女子にはいい迷惑でしょうね」
教員にも話を聞くことができた。今回の騒動について、
「ただ早く元の状態に戻ってほしいです」
そう小さくため息をつきつつも、校長の講話については、こう語ってくれた。
「賛同できないですね。結婚や就職は個人の価値観で決めていくものですからね。いろいろな価値観があり、正しいことはわからない。先生だって間違えることがある。それはひとつずつ自分で考えていかなければならないって生徒には話しています」
その後、何人かの先生に話を聞いたが「子どもたちのためにも通常の業務に戻りたい」という声がほとんどだった。膨大な数の意見が寄せられ混乱する職場の様子を物語っていた。