『bond Project』では今後、移動相談カーで話を聞くことも検討中。気軽に相談できるよう試行錯誤している。

 支援している女の子たちと橘さんは話をするが、政治の話はほとんどしない。

「女の子が事務所に来ているとき、外から街頭演説が聞こえることがありますが、聞いていない感じです。“どうせ自分たちの声は反映されない”と思っている。“声を聞いてもらえる”という希望はないんでしょう。あきらめているんだと思う」

 女の子をとりまく政治課題は多い。自民党を中心に『女性の健康の包括的支援に関する法律案』が2年前に提出された。しかし、性暴力被害者支援の観点がないと指摘されている。

「健康とは真逆なのが性暴力被害です。当事者にも伝わる法律じゃないといけないと思う」(橘さん)

 野党も民進・共産・おおさか維新・生活・社民の5党は共同で「性暴力被害者の支援に関する法律案」を6月に提出した。現在は自民が賛成しない限り成立しないが、参院選次第では情勢も変わるかもしれない。

 また、若年女性の自殺も深刻だ。自殺者数は1998年から一時期3万人を超えたが、昨年は2万4000人ほどまで減った。しかし、20代の死因1位が自殺という状況は続く。

「若年女性の自殺率は高い。相談もしにくい。そんな状況を変えたい」

取材・文/渋井哲也