「僕の周りにも父親になった人が増えましたが、そういう人たちってやっぱり“お父さんの匂い”みたいなのがするんです。そういうのを、子どもがいない中でも画面を通して出さなきゃいけないのが大変でした」
夏休みドラマ『キッドナップ・ツアー』(NHK 8月2日(火)夜7時30分~)で、妻夫木聡が初となる父親役に挑戦!
「僕は父親になったことがないので、父と子の距離感ってどんな感じなのかわからなくて。監督にも、インする前に(娘役の)豊嶋花ちゃんと一緒にごはん行ったりしたほうがいいですかって相談もしました。でも監督から“あまりお父さんっぽくせずに、普段の妻夫木さんでいてほしい”というリクエストもあり、現場に入ってから徐々に距離感を縮めていくようにしました」
距離はあっても“見えない親子感”を出すため、現場では極力“娘”と一緒にいることを心がけたそう。撮影は2週間。2人でどんな会話を?
「たぶんちゃんとした会話にはなってないと思います(笑)。基本的には、ジャンケンとかずっと一緒に遊んでいました。
花ちゃんが特に気に入っていたのが、そこらにあるモノを使って、例えば水のペットボトルがあったら“(声を変えて)水クンだよ~”みたいな。爪楊枝で“トゥースピックの冒険”とか、塩を使って“(低い声で)ごっつぁんです、塩大将です!”ってセリフをつけたり(笑)」
うれしそうに話す表情は、まるで本物のパパみたい! 今回の撮影はオールロケ。テントを張ったりキャンプをしたり、いろんな経験をしたと妻夫木。
「同じ立ち位置で同じ目線で、いろんなことを話しながら過ごしていける親子関係っていいですね。あと、今回の役を演じてみて、不器用でもいいから、ただ一緒にいるっていうのはものすごく大事なことだと思いました。
以前、芝居につまずいたときがあって、親に電話したことがあったんです。そのときオヤジは僕が何も言わなくてもわかってくれて“大丈夫だ”って言葉をかけてくれて。父と子には言葉じゃなくても通ずる何かっていうのが確実にある。その見えない親子の絆のようなものが再確認できるドラマだと思います!」
妻夫木聡×豊嶋花の“親子対談”
2人の前には多くの記者たち――。まるで結婚会見のような光景に……
妻夫木「花ちゃん、こんな年の差で結婚するの大丈夫?」
豊嶋「(恥ずかしそうにモジモジ)」
妻夫木「ではないよね(笑)。冗談が通じないとき、黙っちゃうんです(笑)」
――今回の役で、自分と似ているなって思ったところは?
豊嶋「冷めたところ! いろんなことが面倒くさいみたいな……」
妻夫木「そうだったの!? いろんなことに一生懸命だったじゃ
ん!」
――いちばん楽しかったシーンは?
豊嶋「う~ん……全部楽しかったんですけど……」
妻夫木「(ヒソヒソ声で)バーベキューのシーンって言ってたでしょ」
豊嶋「そう、バーベキュー! 2人で火おこしをして、すごく楽しかったです!」
【作品情報】
◎NHK夏休みドラマ『キッドナップ・ツアー』
角田光代の人気小説をドラマ化! “金なし、仕事なし”のミュージシャン志望のタカシ(妻夫木聡)。妻にも見限られ別居中の彼は、小学5年生の娘・ハル(豊嶋花)を夏休みに“ユウカイ(キッドナップ)”する。ちょっとクールな娘と、ろくでもない父親のひと夏の“旅”を描く。