戸惑いながらも、彼女について丁寧に答える川谷。必死に守ろうとするあたり、彼の中でも大事な存在になりつつあるのだろう。ときおり、笑みがこぼれる瞬間もあった。余裕さえ感じさせたが、ベッキーの話を持ちだすと途端に表情が硬くなった。
─ところで、ベッキーさんとは不倫騒動の後も、連絡をとっていますか?
「連絡はとってないですね。お互いの事務所のこともあり、暗黙の了解でとっていない状態です」
─今、ベッキーさんにはどんな思いがありますか?
「…………」
さまざまなことが頭をよぎったのだろうか。うつむくと、地面を見ながら黙りこんでしまった。数十秒の沈黙の後、顔を上げるとハッキリとした口調でこう話しだした。
「ベッキーさんには本当に申し訳ないことをしてしまったなと思っています。あと、これだけ世間を騒がせてしまったし、いろんな人にも迷惑をかけてしまったのでお詫びをしたいです」
ライブのMCで開き直ったような発言をしていたのとは別人のように、率直に謝罪の言葉を発した。
「わざわざすみません。ありがとうございます」
最後に川谷は礼儀正しく頭を下げた後、タクシーに残っていた女性に声をかけた。2人は連れ立ってマンションへ入っていく。ごまかしたり取りつくろったりすることはなかった。
所属事務所に交際について問い合わせたが、「プライベートなことなので、コメントは控えさせていただきます」とのことだった。