“私が売りました”とドヤ顔してる暇なんかない
──迷っている客に決断させるために三軒家がサクラを使っていましたが、実際には行われているのでしょうか?
C「サクラはダメですね。バレたら面倒なことになりますから。ただ、“ほかにもここがいいと言っているお客さまがいらっしゃいますよ”と言って焦らせることはあります」
B「そういう手使うよねー。私も、申し込みが入ったときに“この物件はすでに申し込みが入っております”って言って、後で“ご案内できることになりました”って言うし」
──売れにくい家の特徴は? それを売る秘訣は?
D「やはり価格が高いと売りにくいわね。すべての条件がそろうのは無理だから、要望が5つあったら3つぐらいの条件を満たす物件を探すようにしてるかな」
C「お客さまの条件を全部満たすのなんて無理ですよね。価格もあると思うけど、安くても市街地から離れていると売りにくいかな。あとは築30年~40年を超える古い物件。ターゲットを金銭的に余裕のなさそうな方に絞って売り込むしかありませんね。あと、近くにお墓がある物件は敬遠されます。私の場合は悪い条件は正直に言って、ダメならほかの物件を紹介するようにしています」
B「お墓もだけど、最近は和室の人気もないみたい。洋室を希望される方には、ホームセンターで買える“なんちゃってフローリング”での改造を提案してるかな。それで妥協できることもあるからね。ただ、お客さまは間取りにはこだわる! ドラマでは一軒家を希望する家族が1LDKのマンションを買ってたけど、実際にはありえないと思う」
D「あれはありえないかもね」
──不動産業の楽しいところ、キツいところは?
D「仕事で全国を回れることかな。契約が決まれば、自分へのご褒美で美味しいものを食べたりして楽しいですよ」
B「一生に1度の買い物なので、家を引き渡すときに泣いて喜ばれる方もいます。こっちもうれしくなるなー」
C「でも、楽しいことばかりじゃないですよ。私は、新人時代に道を覚えるのに苦労しました。地図をひざの上に広げて、深夜に運転の練習をして。クリスマスでも練習しないといけなくて、イルミネーションの中を泣きながら運転しましたよ」
一同「うわー。それツラい!」
B「時間外労働も多いよね。ガス・水道・電気の調査で現場を見に行ったり、契約に関する書類を作成したり、こまごまとした仕事がいっぱい。家ひとつ売って終わりじゃないんです! 三軒家さんみたいに、契約から帰ってきて“私が売りました”とドヤ顔してる暇なんかないんだから!」
一同「そうそう。家ひとつ売るだけが仕事じゃないですよね」