「親が悪い」というひと言では片づけられない

 たしかに、心身とも未発達な少女が撮影現場で大人たちに乗せられ、過激なポーズで視線を集めるのは問題があるだろう。一方で、少女の保護者にも責任はないか。

「未成年者ですから、親が撮影現場に同席している場合も少なくないと思います。しかし、母親がDV夫に脅かされて撮影に同意しているだけかもしれないし、生活苦で追い詰められているのかもしれない。

 ひどい母親がいるよね~というひと言では片づけられないと思います。製作・流通過程で複数の大人が絡んでいるわけですから、社会の一員として“もしかしたら自分たちも加担しているかもしれない”という意識を持ってほしい。問題のある作品が平気で売られているわけですから」(後藤教授)

19歳が15歳を演じても、それは“メッセージ”になる

 一方、年齢が断定できない作品で18歳以上の女優が少女を演じているケースもあるだろう。現行法では児童ポルノには当たらない。

 しかし、後藤教授は「仮に19歳の子が15歳を演じていたとしても、視聴する男性は作品の中に15歳の少女を見る」として次のように話す。

「15歳の子が性的な対象として存在しうるんだというメッセージになる。EU諸国では、出演女優が何歳であっても児童に見える作品は販売できません。ランドセルを背負うなんてもってのほかです。私は、子どもに見えるポルノは規制すべきだと思います」

“しずかちゃん”のお風呂シーンはなぜ問題か

 表現規制は難しい。かつて児童ポルノ規制をめぐっては、漫画『ドラえもん』のヒロイン・しずかちゃんのお風呂シーンが児童ポルノに該当するか議論が分かれるなど波紋を広げた。結局、実在しない少女だとして規制対象外となった。芸能界で活躍する18歳未満の少女もたくさんいる。

「例えば、アイドルグループのプロモーションビデオで、制服を着ていたアイドルが急に水着になって胸が強調される。『ドラえもん』でお風呂に入るのはしずかちゃんばかりで、のび太くんやジャイアンの入浴シーンはそんなにありません。社会全体で子どもを性の対象としない努力をすべきと考えています」

 と後藤教授は話す。