──人によっては他人が家に入ることを嫌がる人もいますけど、関さんはそれがないんですね。
「ぜんぜん平気です。さすがに誰とも関わりのない、知らない人を家にあげて、ご飯を出すのは無理ですけど、つながりがある人なら問題ないです。
そうえいば、うちの実家も近所の子が来て、普通にご飯食べる家でした。しかも私の実家、小学校の通学路沿いだったんですけど、『あそこの家は麦茶くれる』ってウワサが広がったことがあって。小学生が麦茶をどんどん飲みに来ちゃったんですね。
この前、母に『なんで麦茶を出してたの?』って訊いたら、当たり前だと思って〜って言われました。血筋なのか、どっか抜けているのかな(笑い)。未だに同窓会で言われますよ。『昔、関さんの家で麦茶もらった〜』って」
──そんなお母様の料理のポリシーは?
「ないんじゃないかな? 適当だったと思います。特にオーガニックとか、こだわってなかったですし。唯一は、例えば子どもが風邪っぽいと『ねぎを使った料理にしましょう』とか、民間伝承的なものを気にしていたことは覚えています。
あとは旬の食材が多くて、今思えばいわゆる“ちゃんとした家のご飯”という感じでした。インスタント食品を絶対に使わない、ということでもないですけど、あまり出ませんでしたし。外食も少なかったですし。まあ貧乏だったのかもしれませんが(笑い)」
──9月中旬に出版された『食べると人生がかわる! 開運飯』の中で、トレンディエンジェルのおふたりが関さんのことを「お母さんみたいな存在」と言っていました。お母さん芸人と呼ばれることも、最近は多いようで。バックグラウンドを聞けば聞くほど、納得してしまいます。
「もう呼び名だけでも、一回結婚したことになるならいいかなって思い始めています(笑い)。
奥さんじゃなくて、お母さんって、『子どもも産んでんの!?』って感じですが。
でも確かに後輩はみんな、子どもみたいな感じがしますし、子どもがいる後輩芸人も結構いるので、そうするとそれは孫みたいですね」
──周りがバンバン、関さんのご飯で幸せになっていますが、関さんも今、幸せですか?
「本も出せましたし、幸せです! 私、お笑いやりに東京に来たのに10年たったら料理の本を出しているなんて、本当に意外ですけどね。まさかまさかの結果です。
でもありがたいです、料理もお笑いも人に喜んでもらう仕事なので、どちらに比重をかけるということではなく、平行してやっていきたいです」
──最後に、関さんがお料理を食べてもらって、一番嬉しい言葉はなんですか?
「シンプルですが、『美味しいね』。あとは『食べられなかったものが、食べれた』とか、『これ食べれるなんて!』とかが嬉しいです。この『食べると人生がかわる! 開運飯』を読んでレシピを実践してくださった方にも、同じ喜びを味わっていただきたいです」
──関さんは、本当に人の喜ぶ顔がお好きなんですね。私もその精神、見習いたいです。今日は本当に、どうもありがとうございました!
《プロフィール》関好江(せき・よしえ)◎1971年生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。山田真佐美とのコンビ「ボルサリーノ」で活躍中。芸人に振る舞う料理に注目が集まり、食べると運気が上がると評判になった。『昼まで待てない!』(メ〜テレ)の「いいコト料理」に出演中。
(取材・文/中尾巴 撮影/斎藤周造)