親子仲のよさが娘の結婚を阻む
牛窪さんがアラサー、アラフォーの娘が結婚しない理由として挙げたのが、意外にも「親子仲のよさ」。この年代は、牛窪さんが“親ラブ族”と名付けたほど、親子仲がよい。
それを裏づけるのが、親との同居率の高さだ。親と一緒に暮らしている未婚の30代は、約7割。そして、その約9割が家事をまったくやっていないという。
しかし、もし結婚して家を出るとなると、現代日本ではまだまだ家事負担は女性のほうが大きい。出産後、フルタイムで仕事を続ける人はわずか2割だ。仕事は一生続けたいと思うものの、結婚、出産との両立は難しい。
娘世代としては、キャリアと引き換えに実家を出て結婚するのはわりに合わないと考えるのも無理はない。さらに、恋人がいない場合は、イチから相手を見つけなければならない。「そこまでして結婚しなくても」と、先送りしてしまうというわけだ。
世話の焼きすぎが悪循環を生む
一方、娘の結婚先送りをさらに後押ししているのが、親の存在だ。牛窪さんは、「母が娘を支えすぎてしまいがちです」と指摘する。
とくに今のアラフォーの親は、団塊世代が多い。若いころはミニスカートで一世を風靡したツイッギーや、自由を求めて街へ飛び出す『ローマの休日』のアン王女に憧れ、恋愛結婚が少しずつ増え始めた時代。革新的なことが好きで、自立する女性への憧れもある。自分が今の時代に生きていたら、娘と同じようにバリバリ働きたかったという母親も少なくない。
娘の仕事には非常に理解があり、応援しているため、毎日遅く帰ってくる娘の世話をついつい焼いてしまう。さらに、母が専業主婦の場合、自分の世話を嬉々としてやってくれる母の厚意を否定できないと、娘側が気を遣って甘えているケースも。そして、家事をやっていないことで、娘は「結婚して、いきなり全部やっていけるの?」と自信をなくす悪循環が生まれている。
そんななか、「結婚しないの?」は、とてもセンシティブな話題だ。親子仲がよく、仕事への理解もあるからこそ、結婚に関する話題は持ち出しにくく、モヤモヤ……そんな親が多いのだという。
「親御さん自身が趣味を持つなどして子離れしたほうが、うまくいくケースが多いように思います」と牛窪さん。