「身近がいい」から出会えない

「出会いがない」は、よく聞く結婚できない理由のひとつ。婚活の形が増え、ネットも発達。その気になれば出会えそうなのに、なぜ?

「今の若者は、未知の場所に素晴らしいものがあるとは考えない傾向があります。海外旅行に行く20代も年々減少。アラサー女子も同じような思考をする人が増えています」と牛窪さん。そのため、出会いは身近なところでと考える人が増えているというのだ。DVやストーカーなど、恋愛のリスクがクローズアップされていることも、影響している。

 しかし、身近に出会える人数は限られているうえ、魅力的な人は早く結婚していることも多い。しかも、アラサーアラフォーで未婚の男性たちは、子どもを考える場合は20代女性との年下婚を希望。身近な同年代の男性と結婚するならバツイチを、もしくは年下の男性を視野に入れるのが現実的だ。しかし……。

「近ごろの男性は恋愛に消極的。女性が引っ張っていく気持ちがないと厳しい面があります」(牛窪さん)。同年代とのミスマッチと“草食傾向”がダブルで立ちはだかる。

親のヤキモキ度も時代によりアップ

 親子仲のよさや同世代とのミスマッチで、なかなか結婚に踏み切れない娘たち。なんとか見守り、後押ししたいのが親心だが、技術の進歩により、それも難しくなっている。

 牛窪さんは、「昔であれば、彼氏からの連絡は家の電話にかかってきますから、娘の恋愛模様はなんとなく把握できたもの。今は通話ですらなく、メールやLINE。外からはまったくわからなくなってしまったんです」と話す。「スマホを見たいけど、勝手に触ったら怒られるし」「今日、飲み会って言ってたけれど、男の子とかしら?」と、ヤキモキする母親が増加中。

 また、アラサーアラフォーの未婚の娘をめぐって父母がケンカになりやすいのも特徴だ。

「男親は、娘の現状を理解していない人が多い。“結婚しないなんて女としてヤバイ”など、デリカシーのない発言をしたり、“俺が紹介してやる”と、問題が多い部下の男性を紹介しようとすることも……」(牛窪さん)

 そんな父から娘を守るのも、母の務めといえる。

<プロフィール>
◎牛窪恵さん
'68年、東京生まれ。インフィニティ代表取締役。世代・トレンド評論家、マーケティングライターとして活躍。'14年より、内閣府 経済財政諮問会議・政策コメンテーター。さまざまなメディアでも活躍中。『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。