先輩・内野聖陽からのアドバイス
クランクインが待ち遠しかったという中川だが、いざ入ってみて、もうひとつ残念なことがあるという。
「ずっと一視聴者としてドラマを楽しんでいたんですけど、僕が入ったときにはテレビで見ていたおなじみのみなさんがお亡くなりになられていて……。
豊臣をずっと支えてくれていた石田治部さん(山本耕史)や、大谷刑部さん(片岡愛之助)もいらっしゃらないし。片桐且元役の小林(隆)さんとは、“豊臣家の人材不足が深刻だ”ってお話ししています(笑)」
とはいえ、これから後藤又兵衛(哀川翔)や長曾我部盛親(阿南健治)、毛利勝永(岡本健一)といった5人衆の面々も登場。さまざまな思惑を持ちながら、秀頼のもとへと集まってきて、ひと癖もふた癖もある牢人たちとともに戦へと向かっていく。
「僕は大坂で戦いになる発端は、家康と二条城で対面したときだったと思うんです。秀頼は普通に頭がいいけど、その上をいくほどではなかったのかなって。あの場面でひと芝居打って、わざと抜けた殿を演じていたらどうなっていたんだろうと思うんです。家康が危機感を持たないで、“この程度か”と思ってくれたら、豊臣の未来も変わったかなと……。
人から慕われるようなカリスマ性もあるキャラクターですが、自分にすべてが託されているプレッシャーと、繊細な自分が心の内側で葛藤しつつも、まっすぐ立ってなくてはいけない。そういった気持ちを抱えている顔が徐々に出せていければ、豊臣家の滅亡に向かっていくさまがわかるんじゃないかな、と思っています」
虎視眈々と天下を狙ってきた家康が、ついに豊臣に牙をむく『大坂の陣』は目前に。
「初めて内野さんとお会いしたのは、僕がかつら合わせでNHKに行ったときでした。前室に座っている内野さんを紹介していただいたとき“ああ、君かぁ”って(笑)。こいつが秀頼か、と思ってくれたんでしょう。内野さんからは撮影前に“本気でぶつかってこい”と言っていただきました。
内野さんは事務所の先輩でもあるので、すべての撮影が終わったあとに、撮影中に思ったことをゆっくりとお話しさせていただきたいと思っています」